マネックスを創り、やがて黒字化して法人税を払い始めた時、私はとても嬉しい・誇らしい気持ちがしました。個人的にも、私は進んで税金を払う方です-と云うと当たり前のことですが、より正確に云うと、節税をしないで多めに払う方です。私はマゾではありませんが、個人としても税金を払うことには満足感と云うか、社会人としての責任が果たされている実感があります。

しかしそれは国のため、社会のため、延いては自分のため、或いは未来のためであり、決して特定の他人のためではありません。その他人が、やむを得ない事情にある場合はもちろん格別です。社会の一員として扶け合っていくのは当然のことです。しかし例えば怠けている人のために、自分で工夫して努力して利益を上げて(或いは収入を確保し)、そこから払った税金が使われることは不本意です。

最近のいくつかの動きは、この観点から、不安を感じます。国と云う巨大な装置を通して、お金の再分配が行われます。それはもちろん国に期待されている機能であり、今回の選挙でも有権者の意識の中にあったのでしょう。然しながら、この再分配の仕方はひとつ間違えると、頑張っている人たちのモチベーションを下げ、社会の活力、延いては国力を落としかねません。今後の行方を注目したいと思います。