コミュニケーションをする時に、中立的な環境を作ることは、とても大事なことです。「お互いの話をよく聞く」と云っても、本当のことを発言できなかったらそれまでな訳で、しかも発言すればそれだけで良しという訳でもなく、ちゃんと適切な内容、量、重み、ニュアンスが発せられることが大切で、その上で初めて、「よく聞く」ことが出来ます。そして発言は、一方的であってはいけません。双方のバランスが取れていなければ、一見正しく成立しているように見えるコミュニケーションは、実は歪んだものであり、本来のコミュニケーションになっていない場合があります。発言の機会を与えれば、それで済む問題ではありません。機会平等よりも、結果平等が重要で、例えば場所に関して云えば、雰囲気、座る位置、その他モロモロの設定如何によって、コミュニケーションの主役である双方のどちらかが、より優位に、より強く、発言できるようになったりします。

外交の世界に於いて、敢えて第三国で落ち合って話し合うことがあるのも、中立なコミュニケーションを担保するための配慮なのでしょう。この問題は本当に難しい。お互いに日本語を話せるにも拘わらず、敢えて英語で話したことがあります。コミュニケーションの相手は、日本語を流暢に話しますが、母語ではありません。そこで敢えてお互いに外国語である、不慣れな英語で話したのです。そうしても、中立なコミュニケーションを担保することは、とても難しいと思います。結局は中立を目標とする意志が最も重要でしょうか。常に気を付けていきたいと思います。