先週は7万円の維持はできなかったものの4週連続の上昇
今週の日本株市場は、祝日の休場があるため4営業日の短い週となるが、海外の重要イベント次第では値動きが大きくなる。日経平均が7万円台を再び試す場面もあるだろう。
先週の日経平均は前週末比721円高の6万9030円で取引を終え、4週連続の上昇となった。週前半には一時7万798円まで上昇したものの、その後は利益確定売りに押され、7万円を維持できなかった。9月半ばからここまで戻りのピッチが速かったので当然の一服と言える。
最大の注目イベントは米9月CPIと半導体関連企業の決算
最大の注目材料は14日に発表される米国の9月消費者物価指数(CPI)である。市場予想は総合指数が前年比3.6%と、8月の3.4%から伸びが加速する見込み。米国10年国債利回りは先週、一時5.3%台まで上昇した。背景にはAI関連の巨額投資に象徴される旺盛な資金需要や財政問題など、構造的な要因もあるが、やはりインフレの高まりは金利上昇の明示的な要因だ。
一方、直近の雇用統計は市場予想を大きく下回り、FRBによる追加利上げ観測は後退しているためCPIが市場予想の範囲内に収まれば、金利上昇への警戒感が和らぎ、株式市場には追い風となろう。逆に予想を大きく上回れば、長期金利が再び上昇し、特に高PERの成長株には逆風となる。加えて翌15日の米小売売上高も、景気とインフレの両面から重要な判断材料となる。
もう一つの焦点は、14日のオランダのASMLホールディング[ASML]、15日の台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]の決算発表である。AI向け半導体需要は依然として旺盛であり、既に速報値が発表されているTSMCの四半期売上高は過去最高を更新している。よって好業績そのものは相当程度株価に織り込まれているため重要なのは決算の数字以上に、今後の設備投資計画やAI関連需要の持続性について経営陣がどのような見通しを示すかである。足元ではOpenAIの売上高が期待を下回るとの観測も浮上し、AI投資の収益化に対する市場の目線は厳しくなっている。巨額の設備投資が続く一方、その投資に見合う収益が実現するのかという問題である。AI投資の長期的な成長ストーリーが揺らいだとは考えないが、期待先行で買われてきた銘柄には、好決算でも利益確定売りが出る可能性がある。
金利や半導体株の動向に注意はするが、上昇基調に対する見方を変える必要はない
日本の10年国債利回りは3%前後で推移している。長期金利の上昇が企業の資本コストや株式のバリュエーションに及ぼす影響にも注意が必要である。金利上昇が企業収益の拡大を伴うものであれば株式市場は吸収できるが、リスクプレミアムやタームプレミアムの上昇による金利高は株価にとって厄介である。
もっとも、日本株の中長期的な上昇基調に対する見方を変える必要はない。企業の資本効率改善や株主還元の拡充という構造的な変化は続いている。短期的にはAI・半導体関連への物色集中が一服し、好業績の内需株や出遅れ銘柄などへ資金が循環する展開も期待できよう。13日に発表されるIMFの世界経済見通しも、海外投資家の日本株評価を考えるうえで注目される。日経平均の7万円台定着には、半導体株だけに頼らない相場の広がりが必要である。総括すると、今週は6万8000円台を下値の目安としつつ、米国のCPIを受けた金利動向と半導体関連企業の決算を無難にやり過ごして7万円台回復を試す展開を予想する。
予想レンジは6万8500円-7万1000円とする。
