モトリーフール米国本社 – 2026年9月13日 投稿記事より

ネットフリックス[NFLX]の株主にとってこの1年ほどは厳しい時期でした。本稿執筆時点で、株価は2025年6月に付けた史上最高値から43%下落しています。一方、同じ期間にS&P500指数は23%上昇しました。

成長鈍化への懸念、ショート動画や人工知能(AI)との競争激化、さらに経営陣が開示する指標を年々減らしてきたことなどが、株価の下押し要因となっています。しかし、ネットフリックスの業績を牽引する中核事業の戦略に注目すると、現状の株価は魅力的な可能性があります。

現在の株価水準であれば、ネットフリックスの株価は2028年までに大幅に上昇する可能性が高く、長期的には市場平均を上回るリターンを生み出すと予想しています。

ネットフリックスの中核事業戦略は不変

有料動画配信大手ネットフリックスは、長年にわたり同じ基本戦略を取ってきました。主要な財務指標は売上高と営業利益です。売上高の大半をサブスクリプションから得ており、3億2500万という巨大な加入者基盤に比べ、視聴者数の伸びが鈍化しているため、経営陣は年間売上高を高い確度で予測することが可能です。その上で、最大のコスト項目であるコンテンツ制作費用を管理し、目標とする営業利益率を達成することができるのです。

経営陣は毎年、営業利益率の拡大を目標としています。2026年は31.5%の営業利益率を目指しています。実現すれば、2025年を2ポイント、2年前の実績を5ポイント上回ることになります。

この戦略は売上高の伸びが鈍化するなかでも成果を上げています。経営陣はコンテンツ制作費用を抑制しており、2026年上半期の増加率は前年同期比11.5%の増加にとどまりました。ネットフリックス は、ライブイベントやスポーツ配信といった質の高い看板コンテンツと、動画ポッドキャストのような低コストの幅広いコンテンツを組み合わせることに注力しています。2026年上半期の総視聴時間は前年同期比2%増となり、伸び率は2025年の同時期を上回りました。

ライブ配信で加入者を増やし、広告事業も拡大

さらに重要なのは、ライブ配信を増やすことで成果を上げている点です。ライブ配信は、総視聴時間をはるかに上回る新規加入の獲得に貢献しています。これにより、加入者の解約を最小限に抑えつつ、値上げを続けることが可能となっています。ライブイベントは広告事業の強化にもつながり、同事業の2026年の売上高は約30億ドルに達する見通しです。

広告事業は、全体の成長を押し上げる効果が大きいことが証明されています。経営陣は広告なしプランの料金を引き上げても、幅広い視聴者向けに手頃な料金プランを引き続き提供できるためです。それでもなお、広告事業にはなお大きな成長余地があります。すなわち、広告付きプランの視聴規模が拡大し、同社が新たな広告サービスを開発するとともに広告表示量を増やし、広告配信のための技術基盤を改善するからです。特に、AIはより幅広い広告主をプラットフォームに呼び込みながら、広告配信ターゲティングの精度を高めることが可能です。

株価下落で割安感 利益成長と自社株買いに注目

ネットフリックスの株価下落は、業績悪化が原因ではありません。売上高の成長は鈍化していますが、加入者が1億5000万だった時に比べれば、3億2500万を超える加入者を抱える現在のほうが、成長率を維持するのが難しいのは当然でしょう。

注目すべきは、ネットフリックスの加入者数が、現在も業界2位の競合他社のおよそ2倍に上ることです。加入者数が多いことで売上高の伸びは鈍化する一方、より多くの視聴者にコンテンツ制作費を分散できるため、コンテンツへの支出をより効率的に活用できるというメリットもあります。

そしてネットフリックスは、非常に高い効率性を実証してきました。前述のとおり、営業利益率は上昇する見通しです。1株当たり利益(EPS)は、毎年増加を続けています。さらに、利益が現金として手元に残る割合を表すフリーキャッシュフロー転換率は90%前後と非常に高い水準にあります。経営陣は、この余剰資金のほぼ全額を自社株買いに充てています。2026年第2四半期には過去最高となる 47億ドルの自社株買いを実施し、取締役会は追加で250億ドルの自社株買い戻し枠を承認しました。2026年6月末時点で、既存の承認枠に基づく自社株買いの余力は271億ドル残っていました。

営業利益率の着実な上昇と自社株買いの結果、過去1年は株価の下落にもかかわらず、EPSが増加しました。そのため、本稿執筆時点の予想株価収益率(PER)はわずか21倍の水準にとどまります。売上高の2桁成長、営業利益率の上昇、継続的な自社株買いを踏まえると、同社は当面、年率20%程度で EPSを成長させられると考えます。しかし、現在の株価水準は、利益成長率がこれを大幅に下回るとの見方が織り込まれているようです。

そうした理由から、筆者は引き続きネットフリックス株を保有する方針であり、現在の株価水準で買い増すことも検討しています。

免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Adam Levyはネットフリックス株を保有しています。モトリーフール米国本社は、ネットフリックスの株式を保有し推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示ポリシーを定めています。