モトリーフール米国本社 – 2026年9月1日 投稿記事より
9月が警戒されるのには理由があります。S&P500でみると1928年以降の9月は長期的な平均リターンがマイナスとなっている唯一の月です。9月のS&P500は平均で約1.2%下落しており、上昇で終えたケースは全体の44%にとどまっています。また、過去5年間に限ると9月のうち4回で下落しており、平均下落率は4.2%となっています。
しかし、指数の平均値からは実際の動きが見えてきません。9月は以下のようないくつかの最大手のAI企業が決算を発表する時期でもあり、株式市場が低調な月でも、好決算が発表されると株価が通常よりも大きく動くことがあります。
オラクル:決算不振でも株価急騰、その理由は4550億ドルの受注残
オラクル[ORCL]は、2025年9月に最も劇的な値動きを見せました。2025年9月10日、同社株は1日の取引で1992年以来最大となる35.95%の上昇を記録し、時価総額は2440億ドル増加して9220億ドルに達しました。取引時間中の上昇幅は一時43%に達しました。
決算はアナリスト予想を下回る内容だったこともあり、株価急騰の引き金となったのは業績ではなく、受注残が材料視されたためです。オラクルは、受注残に相当する残存履行義務(RPO)が前年比359%増の4550億ドルとなったことを明らかにしました。わずか1四半期の間に3社の顧客と締結した合計4件の数十億ドル規模の契約が、RPOの伸びを牽引しました。
これは重要な教訓を示しています。オラクルの株価が上昇したのは、計上済みの利益ではなく、将来の売上につながる契約でした。こうした情報が明らかになれば、季節的な市場センチメントを覆して株価を大きく動かすことがあります。一方で、同社のAIクラウド事業は急成長しているもののオラクル株はピークから56%下落しており、1220億ドルの負債と、6380億ドルの受注残が、オープンAIのように財務状態が厳しいAI関連顧客に大きく集中していることは投資家にとって懸念材料だと思われます。受注残と負債の状況をより明確に把握するために、2026年9月10日に発表が予定されている四半期決算を注視しましょう。
マイクロン・テクノロジー:HBMが変えるメモリ市場、供給逼迫で高まる価格決定力
マイクロン・テクノロジー[MU](以下、マイクロン)は3銘柄の中で最も景気循環の影響を受けやすく、季節的な相場下落にも最も影響されやすいため、同社株の実績はより興味深いものとなっています。同社株は2025年第4四半期だけで56%強上昇し、通年では240%高の上昇となりました。
マイクロンの成長を牽引しているのは高帯域幅メモリ(HBM)です。全てのAIアクセラレーターがHBMを必要とするため、供給は逼迫しており、過去のメモリ市場サイクルではみられなかった形で価格決定力がメーカー側へと移っています。マイクロンは2026年9月30日に第4四半期(6-8月期)決算発表を予定しており、オラクルやブロードコムと同様に、2026年9月の決算発表が株価を動かすきっかけになる可能性があります。
AIだから上がるのではない、株価を動かす「確かな材料」
これら2銘柄のいずれも、AI関連株であるという理由で2025年9月に上昇したわけではありません。それぞれが同月の間に具体的かつ検証可能な情報を開示したからです。オラクルは契約済みの受注残高、マイクロンは供給が逼迫する部品市場での価格決定力を示しました。
この違いは、2026年9月には特に重要です。ハイパースケーラーの設備投資が営業キャッシュフローの約93%に達し、AI関連投資の上昇を支えてきた循環的な資金調達の構図にも厳しい目が向けられています。実際に契約を締結し、新規顧客を獲得している企業には、成長を裏付ける具体的な材料があります。一方、期待感やストーリーを拠り所に取引されている企業には、裏付けがありません。
またテクニカル面では、注目すべき一つの判断基準があります。S&P500指数が200日移動平均を上回った状態で9月を迎えた場合、同月の平均リターンは1.3%のプラスに転じ、60%のケースで上昇を記録しています。過去の実績を見る限り、カレンダー上の季節性よりも、相場のトレンドの方が重要だということです。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Micah Zimmermanは、記載されているどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社は、マイクロン・テクノロジー、オラクルの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示ポリシーを定めています。
