円売り越しから買い越しへ転換=CFTC統計の投機ポジション
ヘッジファンド(以下ヘッジF)の取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、9月1日時点の9万枚の売り越し(米ドル買い越し)から、8日時点では1万枚と小幅ながら買い越し(米ドル売り越し)に転換した。
この動きは、先週(9月7日週)に米ドル/円が160円程度から一時152円台まで急落した動きに連れたように見える(図表1参照)。その意味では、この米ドル/円急落において、ヘッジFなど投機筋の米ドル買い・円売りポジションの処分に伴う米ドル売り・円買いの影響がかなり大きかった可能性があるのではないか。
損失拡大回避で円買いを急いだ可能性=損益分岐点120日MAの159円割れ
では、なぜヘッジFなどの投機筋は米ドル買い・円売りポジションの処分を急いだのか。それは同ポジションの損失拡大を回避する狙いが大きかったのだろう。ヘッジFの損益分岐点の目安と見られる120日MA(移動平均線)は、先週(9月7日週)の段階で159円台を推移していた(図表2参照)。このため、米ドル/円がこの120日MAを割り込み、さらに下落が広がる中で、同ポジションの損失が拡大する可能性が高まったと考えられる。
米ドル/円は、ゴールデンウィークと7月末の日米協調介入など、2026年に入ってからの2度の為替介入局面でも155円割れには至らなかった。いわば「鉄壁の155円」だったが、それをついに割り込んだのは、これまで見てきたことからすると、投機筋の米ドル買い・円売りポジションの損切りが大きな役割を果たした可能性が高いのではないか。
次の焦点は2026年の安値152円を割れるか=米ドル/円
こうした中で、米ドル/円は先週(9月7日週)一時、2026年の安値である152円に迫る動きとなった。この安値は、1月23日、日米の通貨当局が円安けん制の「レートチェック」に動いた局面で記録したものだが、この時は米ドル/円は152円割れには至らず、やがて米ドル高・円安再燃に向かった。では今回はどうか。
同じ152円でも1月と足下では違いがある。その1つが、ヘッジFの損益分岐点、120日MAとの関係だ。1月当時の120日MAは152円程度だったのに対し、足下では159円台。つまり1月は、「レートチェック」をきっかけに米ドル/円急落となったものの、120日MAを大きく割り込むには至らなかったことから、米ドル買い・円売りポジションは損失拡大が回避されたと見られたのに対し、足下では損失が大きく拡大したと考えられる。
足下ではむしろ米ドル売り・円買いポジションの含み益が拡大している可能性がある。その意味では、日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小や日本の長期金利低下などの手掛かり次第では、ヘッジFが152円割れへ米ドル売り・円買いに動く可能性もあるのではないか。
ヘッジF円買い拡大は「手掛かり」次第
ただ先週(9月7日週)後半からは、逆に日本の長期金利上昇が再燃、米ドル安・円高とのかい離が目立つようになった(図表3参照)。これは、原油価格が100米ドルの大台を超えるなどのインフレ要因を受けて、米10年債利回りが5%の大台突破をうかがう動きとなっていることに影響されているように感じられる(図表4参照)。
米ドル/円の120日MAは足下で159円台を推移している。それよりも米ドル安・円高圏で推移している中では、米ドル売り・円買いポジションは含み益に余裕があるとみられることから、ポジションの処分に伴う米ドル買い・円売り拡大に向かう可能性は低そうだ。ただ逆に米ドル売り・円買い拡大に向かうかとなると、それにも手掛かりが必要になるだろう。
