円安から円高への重要分岐点になってきた120日MA

ここ数年、米ドル/円は120日MAを割れると、さらに5~10%と一段と下落するパターンが繰り返されてきた(図表1参照)。このパターンが今回も機能するなら、120日MAは足下で159.7円程度なので、米ドル安・円高は143~151円を目指すと見通しになる。

【図表1】米ドル/円と120日MA(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

このように、120日MAが円安から円高への重要な転換点になってきたのは、それが代表的な投機筋であるヘッジファンド(以下ヘッジF)の損益分岐点の目安である影響があるだろう。

円売りの損切りで円が急騰した2024年=円買い拡大で円高を主導した2025年

例えば2024年7月、米ドル高・円安は日本の通貨当局による米ドル売り・円買い介入をきっかけに161円で一段落したが、その当時ヘッジFの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは大幅な円売り越しとなっていた。その後、米ドル/円が下落に向かい、120日MAを割れると、損失拡大を回避するべく円売りポジションの処分(円買い戻し)が急拡大し、それが一段の米ドル安・円高をもたらすところとなった(図表2参照)。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

2025年1月には第2次トランプ政権発足を前後し、米ドル/円は158円から139円まで大きく下落した。このケースも、米ドル/円は120日MAを割れてから一段安に向かったが、ここでCFTC統計の投機筋の円ポジションは前代未聞の買い越し拡大に向かった。120日MAより米ドル安・円高が広がる中で、円買いポジションの含み益が拡大。それが金利差ではなお不利な円買い取引を正当化することで、一段の米ドル安・円高を主導するところとなったと考えられた。

ヘッジFは円買い拡大戦略に動くか?

9月1日時点で、CFTC統計の投機筋の円ポジションは10万枚近くと比較的大幅な売り越しとなっていた。そうした中で120日MAより米ドル安・円高が広がったことから円売りポジションの損失拡大を回避するための処分が拡大し、それがさらなる米ドル安・円高の後押し役になった可能性はありそうだ。

その後も120日MAより米ドル安・円高水準での推移が続く中では、米ドル売り・円買いポジションが含み益になると考えられる。このため円売りポジションから円買いポジションに転換した上で、さらに円買い越し拡大に向かう可能性も注目されるのではないか。

一方向に動きやすい「レーバーデイ・アノマリー」

今回の米ドル/円急落は、9月7日のレーバーデイを前後して起こったものだった。例年、レーバーデイ明けから実質的な夏休み明けでトレードを本格再開することから一方向への相場の動きが続きやすい傾向がある。

例えば、2024年の場合、上述のように7月から米ドル/円は急落したが、それが8月に一服したものの、9月のレーバーデイ明けから下落が再燃、米ドル/円の安値更新に向かった(図表3参照)。このように、トレードを本格再開する上で円買い戦略がどこまで続くかも、当面の円高の行方を左右する要因となりそうだ。

【図表3】米ドル/円の日足チャート (2024年7~11月)
出所:マネックストレーダーFX