米国のインフレ懸念後退が日本株相場の大きな支えに

今週の日本株相場は、日経平均株価が7万円の大台を試す場面もありそうだ。一方、高値警戒感から上値では利益確定売りも出やすい。前週の日経平均は4営業日続伸し、14日には一時6万9608円まで上昇し、7万円を視野にとらえるところまで来た。日経平均は6月22日の高値7万2831円から7月29日の安値6万448円までの下落幅に対して、すでに3分の2戻しとなる6万8704円を達成した。ここまでくれば7万円台回復は通過点、さらにその先に6月高値が意識される状況である。

先週のストラテジーレポートで書いた通り、米国のインフレ懸念が後退したことが大きな支えになっている。7月の米CPIは前年比3.4%と6月の3.5%から鈍化し、食品・エネルギーを除くコアCPIも2.5%と前月の2.6%から低下した。さらにPPIも前月比横ばいと市場予想を下回った。特にスーパーコアCPIが前年比2.84%まで鈍化するなど、春先に警戒されたインフレ再加速が幅広い品目に波及していないことは株式市場にとって大きい。FEDの利上げ観測の後退が、バリュエーションの高いAI・半導体株にも資金が戻りやすい地合いを生んでいる。

「AI株の一極集中」から、好決算を背景に物色対象が広がりを見せる

日本株市場でもAI・半導体株の急速なリバウンド相場が展開中である。キオクシアホールディングス(285A)など大幅に売り込まれた銘柄は反発するも、さすがに戻り率はまだ道半ばであるのに対して、アドバンテスト(6857)はすでに高値を奪回したように、AI・半導体株のなかでも個別には戻りに跛行色が見られるところがポイントだ。

それ以上に重要なポイントは日本株相場全体が「AI株の一極集中」ではなくなりつつある点である。好決算を背景に物色対象は銀行や内需、景気敏感株などにも広がり、TOPIXは最高値更新を続けている。先週末時点でTOPIXは1年3ヶ月ぶりの8連騰達成だ。

今週は8月後半の重要イベントを控え一進一退の展開か

今週の相場材料はまず17日の国内4-6月期GDP速報だ。市場予想ではプラス成長が継続すると見込まれ、景気の底堅さが確認されれば日本株にはプラスだが、同時に日銀の追加利上げ観測を強める可能性もある。

海外では米FOMC議事要旨が発表されるが、CPI、PPIの鈍化によって米金融政策を巡る警戒感は後退しており、過去の議論はあくまで参考として市場には受け止められるだろう。

日経平均はわずか1週間で3,000円以上上昇し、6万9000円近辺には累積出来高も多く、戻り売りが出やすい。このため7万円を突破しても、そのまま一気に6月の最高値7万2831円を奪回する前に、6万8000-7万円台で少し滞留する期間がありそうだ。そこで売買をこなして玉の調整を待つ。いわば更なる高値更新に向けてエネルギーを蓄える時間である。イベント的にも、8月下旬には26日のエヌビディア[NVDA]の決算発表、27-29日のジャクソンホール会議と大きなイベントを控えているだけに、今週はなおさら一進一退の展開となりやすいと思われる。

繰り返すが、AI・半導体株の一極集中からの物色の広がりが相場にとって健全な展開となっている。このまま銀行、内需、景気敏感株、中小型株へさらに広がっていくのかに注目したい。

予想レンジは6万6500-7万1000円とする。