モトリーフール米国本社 – 2026年9月23日 投稿記事より
Museがメタ・プラットフォームズ[META]の次なる成長の起爆剤となる可能性
近年における人工知能(AI)の実用性の高まりは目を見張るものがあります。生成AIのブームは一巡し、現在は多段階推論が可能なAIエージェントが主役となっています。多段階推論により、AIエージェントは最終的な目標を見失うことなく、複雑なタスクをより小さなステップに分けて完遂することができます。大手テック企業は、業務プロセスの合理化、コードの記述、デジタル広告の簡略化などを目的にAIエージェントを導入しています。そして、AIエージェントは一般消費者向けにも普及し始めています。
2026年9月初め、メタ・プラットフォームズ[META](以下、メタ)は「世界初のパーソナルAIエージェント」と称する「Muse」を発表しました。同社によると、独自のフロンティアモデル「Muse Spark」を基盤とする同エージェントは、単に質問に答えるだけではありません。Museは、特別なトレーニングや背景知識を必要とせず、導入後すぐにeメール送信、旅行の計画・予約、オンライン購入などに活用できるといいます。
それから僅か数週間でMuseは爆発的な広まりを見せ、サービス開始時のChatGPTを上回るペースで普及しており、その勢いが衰える兆しはありません。
Muse、リリース後12日間で280万ダウンロードを達成
メタのMuseは、2022年11月のChatGPT登場以来の最速ペースで普及しています。市場調査会社Apptopiaによると、Museはリリース後12日間で、米国とカナダのアップル・アプリケーション・ストアにおけるiOSモバイルのダウンロード数が180万件を記録しました。それに対し、ChatGPTのリリース後12日間でのダウンロード数は130万件でした。アルファベット[GOOGL]のアンドロイド・アプリケーション・ストアからのダウンロードも含めると、Museの総ダウンロード数は280万件に上ります。
その結果、Museは無料iOSアプリのダウンロード数ランキングで首位に浮上し、ChatGPTを2位に追いやりました。MuseはiOSアプリの評価で5点満点中4.9の高評価を維持し、3万6,000件以上のレビューを獲得しています(本稿の執筆時点)。その後、Museは無料アンドロイドアプリのダウンロード数でも1位となりました。
また、このAIエージェントは、ユーザーの利用度合いも高い水準にあります。Museのリリース後12日間における1日当たりのアクティブユーザー数は64万2,000人に達し、リリース後の同期間におけるChatGPTの23万1,000人を大きく上回りました。メタは36億人を超える巨大なソーシャルメディアユーザー基盤を活用し、Museの相互プロモーションを行っています。Apptopiaによると、Museの利用者の95%がFacebookのユーザーであり、63%がInstagramのユーザーでした。
ショッピファイ[SHOP]やペイパル・ホールディングス[PYPL]などとの著名企業との相次ぐ提携
Museは消費者の間で急速に普及しているだけでなく、企業の間でも、このAIエージェントを自社のデジタルリテール・プラットフォームやフィンテック・プラットフォームに組み込もうとする動きが相次いでいます。
・カナダのeコマース大手ショッピファイ[SHOP]は、自社のeコマースプラットフォームにMuseを統合する計画を発表しました。これにより、ユーザーに代わってMuseが加盟店の商品を検索し、Shop Pay決済で購入することが可能となります。
・デジタル決済大手ペイパル・ホールディングス[PYPL]は、メタと提携してMuseを自社のグローバル加盟店ネットワークに統合し、これによりユーザーが商品を検索し、ペイパルの安全な決済機能を利用して購入を完了するのを支援する計画です。
・オンライン旅行代理店エクスペディア・グループ[EXPE]は、ユーザーが旅行を計画・手配するのを支援するためにMuseを導入すると発表しました。
・フィンテック企業のストライプは、Museのローンチパートナーであり、同社のデジタルウォレット「Link」とMuseを統合し、ユーザーがAIエージェントによる購入の支払いを行えるようにすると発表しました。このシステムはワンタイムカード番号を提供するため、ユーザーの実際のカードデータは開示されません。
・食料品配達を手掛けるインスタカートの親会社メイプルベアー[CART]は、配送システムをMuseと直接連携させ、買い物の簡略化を支援すると発表しました。
これらの提携の一部は2026年9月20の週に発表されたばかりであり、Museの導入がさらに広がるにつれ、新たな提携先が次々と登場するとみられます。
株価は割安水準、今が投資のチャンスなのか?
メタの投資家の間で、以前から繰り返し議論されてきたのが、同社が巨額のAI投資からどのように収益を生み出すのか、という問題です。Museの急速な普及は、その疑問への答えのひとつになりそうです。Museは、利用制限ありの無料版に加え、月額20ドルと100ドルのプランが用意されています。
メタの36億人のユーザーの僅か1%が月額20ドルのプランに加入しただけで(Museに対する当初の反響を考慮すると、これは保守的な想定と言えます)、年間86億ドル超の追加収益が見込まれます。Museが広く普及すれば、さらに大幅な増収が実現する可能性があります。
消費者による利用拡大と企業パートナー数の増加は、Museが最も人気のあるAIアプリのひとつになる可能性があります。そうなれば、メタと同社の株主に非常に大きな利益をもたらすと思われます。
こうした魅力的な成長機会があるにもかかわらず、メタ株は最近の上昇の後でさえPER 28倍と驚くほど手頃な水準で取引されています。これが、同社株に投資妙味があると考える理由です。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Danny Vena(CPA)は、アルファベット、アップル、メタ・プラットフォームズ、ショッピファイの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アルファベット、アップル、メタ・プラットフォームズ、ペイパル、ショッピファイの株式を保有し、推奨しています。また、インスタカート株の買いと、ペイパルのコールオプション(2026年12月限、行使価格62.50ドル)のショートを推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示ポリシーを定めています。
