金利上昇が落ち着けば価格反発の期待

J-REIT価格は下落傾向には歯止めがかかっているものの、停滞傾向が続いている。2026 年6月の東証REIT指数は、1,750ポイントから1,800ポイントでのレンジで推移している。価格停滞の要因は、国内外の長期金利が上昇し、利回り投資商品であるJ-REITに売り圧力がかかっていることが要因として挙げられる。

日本の長期金利を見ると、日本10年国債利回りは年初の2%程度から5月以降は2.5%以上で推移している。長期金利上昇に伴いJ-REIT利回りとの乖離幅(イールドスプレッド)が縮小し、J-REIT価格の下落(利回りの上昇)圧力がかかる。

ただし、日銀が金融政策を緩和していなかった2007年から2008年頃には、イールドスプレッドは平均で1.3%程度であった。10年国債利回りが3.0%まで上昇しても現状のJ-REITの利回りは5.0%を超えているため、イールドスプレッドは2.0%程度ある。したがって、長期金利の先行きの不透明感が解消すれば、J-REIT価格は上昇(利回りは低下)する余地は大きいと考えられる。

金利上昇が収益に与える影響が少ない理由

J-REIT価格停滞の2つめの要因は、国内金利の上昇によるJ-REIT収益の悪化懸念だ。国内金利の上昇は支払利息の増加につながり、収益を押し下げる。借入金を固定金利で調達していたとしても、借換え時には長期金利の上昇の影響を受ける。

J-REITの借入金は、58銘柄全体で11兆4000億円を超えている。このうち固定金利での調達は80%程度となっているため、借換え時には、大幅に上昇した長期金利の影響を受ける。

ただし、J-REITの大半の銘柄は、借入金を長期で調達することで借換え時の金利情勢の影響を少なくしている。J-REITの借入金の平均調達年数は7.4年程度であり、図表のとおり年間の返済額は少ない。具体的には、直近4年の返済額は全体の15%程度で推移しており、借換え時の影響は少なくなっている。

【図表】J-REIT全体の借入金返済時期(2026年5月末時点 単位:億円)
出所:各銘柄公表資料を基にアイビー総研(株)作成

急激な金利上昇に対応する各銘柄

さらに、大半の銘柄は将来的な金利上昇に備え、日銀が異次元金融緩和政策を行っていた時から、長期固定金利で調達していた。前述の通り長期金利は上昇しているが、変動金利の上昇幅は少ない。J-REITが変動金利で調達する場合、1ヶ月TIBOR(※)をベースにすることが大半だが、年初の0.85%程度から日銀の利上げ後となる6月24日時点でも1.17%と0.3%以内の上昇幅に収まっている。

各銘柄は、金利上昇幅が小さい変動金利での調達比率をあげることで借換え時の金利上昇の影響は少なくしている。5月末時点での固定金利比率は80%程度であるが、2026年の5月までの調達は変動金利の比率が67%を超えている。さらに調達年数も4.6年程度まで短くすることで、収益への影響を軽微にする取り組みを行っている。

長期、および短期金利が25年以降、急激に上昇しているため、景気に対する遅効性が強い賃貸収益の増加が追いついていない状態ではある。しかし、従来から保守的な財務運営をおこなっていた銘柄は、上記のように財務運営方針を柔軟にすることで影響が軽微となっている。したがって、今後の投資先を検討する上では、財務状況を確認することが重要と考えられる。

※TIBOR:Tokyo InterBank Offered Rateの略で国内金融機関同士の取引金利指標