米ドル/円の120日MA(移動平均線)割れ=これまでは円安から円高への重要転換点

2026年に入ってから、米ドル/円には何度か大きく反落する場面があった。1月23日の日米の通貨当局による円安けん制の「レートチェック」や、4月30日の日本単独の米ドル売り・円買い介入などがきっかけになったが、それに伴う米ドル/円の反落は120日MA(移動平均線)を大きく割れるには至らなかった。ところが今回、日米協調介入を受けた急落により、米ドル/円は足下で159円半ば程度を推移している120日MAを大きく割れるところとなった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と120日MA(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ここ数年、この120日MAは、円安から円高へ反転する重要な転換点となってきた。基本的には、米ドル/円が120日MAを割れると、そこからさらに5~10%の下落に向かうパターンが繰り返されてきた。今回もこのパターンが機能するなら、159.5×0.9~0.95で計算すると143~151円を目指す米ドル安・円高が始まっている計算になる。

投機筋の損益分岐点=円売りポジションの損失拡大回避で円買い戻し

このように、これまで120日MAが円安から円高への転換点になってきた背景には、120日MAが、代表的な投機筋であるヘッジファンドのポジションにおける損益分岐点の目安になっていた影響があると考えられてきた。

2024年7月から8月にかけて、1ヶ月弱で161円から141円まで約20円も米ドル/円が暴落したことがあった。この動きはヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションが過去最大規模の売り越し(米ドル買い越し)から買い越しに転換する動きに沿ったものだった(図表2参照)。それは、急激な円高の動きにより、損失拡大を回避するべく円売りポジションの処分を急いだ結果だったのか。

【図表2】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2024年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

この局面での米ドル/円の下落は、120日MAを割れてから加速した。その意味では、円売りポジションの損失拡大を回避するための円買い戻しが急激な円高を主導した可能性もあっただろう。

ユーロ/円や豪ドル/円も120日MA割れ

日米協調介入などを受けた米ドル/円の急落は、これまでは155円台で一巡となっている。その一方で、足元の米ドル/円は、159円半ば程度を推移する120日MAを下回る水準での動きが続いている。この状況が続くなら、円売りポジションの含み損を解消するべく、円の買い戻しが増える可能性があるのではないか。

最近の120日MA割れは、米ドル/円だけにとどまらず、ユーロ/円や豪ドル/円といったクロス円通貨ペアでも起こった(図表3、4参照)。それぞれの120日MAは、足下でユーロ/円が184円台後半、豪ドル/円は112円台半ばでの推移となっている。この120日MAを下回る水準での動きが続くなら、これらのクロス円通貨ペアでも含み損を解消するべく、円の買い戻しが増える可能性に注目されるのではないか。

【図表3】ユーロ/円と120日MA(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
【図表4】豪ドル/円と120日MA(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成