中東情勢の「ちゃぶ台返し」は大きな下落リスク
先週の日経平均は終値で初めて7万円台に乗せた。今週も最高値更新基調が続く公算は大きいが、高値警戒感も台頭していることから短期的な調整も念頭に入れておきたい。
米国とイランは戦闘終結の覚書に署名したが、中東情勢については油断大敵であると思ったほうがいい。最大のポイントは合意が実際に履行されるかどうかである。停戦が順調に進めば原油安定→インフレ圧力後退→長期債への買い安心感という経路が働く一方、実効性に不透明感が再燃すれば原油反発とともに金利・株の双方に逆風となる。週末にイスラエルとヒズボラの停戦が伝わったことは一つの支えだが、レバノン情勢など火種は残る。相場が戦闘終結をかなり織り込んだ後だけに、「ちゃぶ台返し」は大きな下落リスクだ。
円安進行と介入警戒の綱引きに注意
日米金融政策の方向性の違いから円安が一段と進行している。日銀は政策金利を0.25%引き上げ1.00%としたが、次回利上げは12月との見方が多く、当面は「次の一手」を巡る思惑が後退する。対してFOMC(米連邦公開市場委員会)は政策金利こそ据え置いたものの、ドットチャートは2026年末までの利上げを半数の委員が想定する形となり、声明文からは利下げ示唆が削除された。ウォーシュ新議長の会見もタカ派と受け止められ、米長期金利は一時4.5%台をつけた。
円は対ドルで162円台、1986年以来およそ39年半ぶりの安値圏をうかがう。4月30日の介入水準160.72円をすでに上抜けており、25日発表のコアPCEデフレーターが上振れれば、利上げ観測の一段の高まりからドル買い主導で162円台半ばを試す展開もありうる。
片山財務相は「投機的な動きがあれば断固とした措置をとる」と明言し、投機筋の円売りポジションは積み上がっている。円安進行と介入警戒の綱引きは、輸出株や為替感応度の高い銘柄のボラティリティ要因として意識しておきたい。
需給面でマイナス材料が多い週 短絡的な調整にとどまる可能性が高い
今週の注目イベントは24日の米マイクロン・テクノロジー[MU]の決算である。好決算はすでに相当程度織り込まれていて、決算後の「出尽くし感」が心配だ。
需給面では、6月末にかけて年金基金のリバランスがある。株価上昇でウエイトが高まったAI関連株は自然とリバランスの対象になる。つまりは機械的に売り圧力にさらされるということだ。加えて26日の株主総会集中日通過後は、自社株買いアナウンスの減少とファイナンス発表の増加が想定される。需給に関してはマイナス材料が多い。
高値警戒感、中東情勢、マイクロン決算、需給悪化など相場の潮目が変わる材料はいくつもある。しかし、いずれもAI関連が大きく崩れ本格調整を引きおこす決定打になるようなリスク要因ではない。株価が下がってもすぐに押し目買いが入り、短期的な調整にとどまる可能性が高いだろう。
予想レンジは7万円-7万3000円とする。
