先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業板指数は反発、香港ハンセン指数は続落となりました。中国本土の株式市場ですが、9月22日(月)はここのところ続いている中国の弱い経済指標と先週に行われた12社のIPOへ向けた換金売りが進み、大幅反落でスタートしました。しかし、9月23日(火)に発表された9月のHSBC中国製造業景況感指数(速報値)が50.5と、8月実績の50.2や市場平均予想の50.0を上回ったことをキッカケに地合が好転しました。その他、中国人民銀行(中央銀行)が大手銀行に対して住宅ローンの基準を緩和するように指示をしたとの報道から不動産株が買われたことも相場にプラスとなりました。
その後は特に大きな材料は出なかったのですが、9月23日(火)に好転した良い地合が週末まで継続して、4日続伸。年初来高値を更新し続けて、上海総合指数は1年7ヶ月ぶりの高値を更新しています。あえて言えば、中国政府が中国人民銀行の周小川総裁の交代を検討していると報じられたことがあります。後任には山東省の郭樹清省長が有力視されていますが、周小川総裁は経済状況が厳しい中でも引き締め気味の金融政策を採り続けたため、総裁交代が現実のものとなれば、金融緩和がなされるのではないかという見方が一部の証券会社から発表されました。ただ、今のところ交代は決まっていませんし、交代したところで、金融政策は変わらないとする見解もあり、株式市場にとっては完全にプラス要素とも言い切れないと思います。
好調な中国本土市場に対し、香港市場は先週も下落し、香港ハンセン指数は3週続落となっています。中国経済の減速懸念が継続した上、中国国家外為管理局 (SAFE)が100億ドル以上の不正貿易金融取引を摘発したことや、香港の普通選挙導入を求めたデモが拡大し、香港の金融街で大規模なデモが計画されていることなど、不安材料が相次ぎました。10月からの開始が予定されている上海と香港の相互株式取引を可能とする「滬港通」(上海・香港ストック・コネクト)も中国本土では好材料となっていますが、香港ではこれまで大きく上昇してきたせいか、逆に利食い売りが出ているような印象です。今週は9月30日(火)に9月のHSBC中国製造業景況感指数(確報値)、10月1日(水)に9月の中国公式製造業景況感指数<8月実績51.1、市場平均予想51.0>、10月3日(金)に9月の中国公式非製造業景況感指数<8月実績54.4>が発表となります。特に9月の中国公式製造業景況感指は予想よりも悪い結果となれば、中国経済への先行き懸念が高まり、特に香港株にとってマイナス材料となる可能性がありますので、注意が必要です。
コラム執筆:戸松信博