今週もニュースドリブン相場が続く

今週の日本株相場は、緊迫化するイラン情勢の行方を見極めようとする様子見ムードと、国内で本格化する決算発表への期待が交錯する。地政学リスクと企業業績の両睨みの中で、不安定ながらも底堅さを探る展開となるか注目したい。最大の焦点は - 言うまでもないことだが - イランを巡る緊張の行方であり、先週もトランプ米大統領の発言や攻撃観測に振り回される形で日経平均は日々1000円規模の値動きを繰り返すなど、非常に荒れた相場となった。紛争の早期終結期待が浮上すれば急反発する一方、強硬姿勢が示されると失望売りが広がるという、典型的な「ニュースドリブン相場」が続いている。

今週もこの構図は変わらない。特に注目したいのは6日までとしているエネルギー施設攻撃の期限だ。米国の出方次第で、相場の方向感は大きく左右される公算が大きい。米軍の戦闘機がイラン国内で撃墜されたこともあって、トランプ大統領は強硬な姿勢で臨むおそれがある。ダウンサイドを警戒したい。

市場リスクと数少ないポジティブ材料

原油価格はすでに1バレル110ドル台に達しており、インフレ圧力の再燃が意識されやすい。その観点から米国ではCPIやPCEデフレーターといったインフレ指標が注目される。結果次第では長期金利の上昇や金融引き締め観測の再燃を通じて、グローバル株式市場の重石となる。地政学とインフレというマクロ要因が同時に市場のリスクとなる。

ただ先週発表された米雇用統計はじめ経済指標は総じて強く、米国のスタグフレーション懸念が後退していることは、数少ないポジティブ材料である。

需給面でも安心感は乏しい。海外投資家は現物・先物合計で大幅な売り越しを継続している一方で、投信や信託銀行の買いが下支えとなっており、完全な崩れには至っていない。このため、相場は「上値は重いが下値も限定的」というレンジ的な性格を強めている。

今週注目の決算やテーマ別セクター

こうした中で、2月期決算が本格化する。8日にはサイゼリヤ(7581)、エービーシー・マート(2670)、9日にはセブン&アイ・ホールディングス(3382)、ローツェ(6323)、古野電気(6814)、イオン(8267)、ファーストリテイリング(9983)、ツルハホールディングス(3391)、10日にはビックカメラ(3048)、Sansan(4443)、竹内製作所(6432)、良品計画(7453)、安川電機(6506)などの発表が予定されている。安川電機のガイダンスは製造業全体の先行指標として重要視されるのはこれまで通りだが、半導体ウエハー搬送装置のローツェも注目されるだろう。同社は3月下旬に純利益の下方修正を出して大きく売られた経緯があるが、正式な決算発表で持ち直すかどうか。またSansanの見通しは、いわゆる「SaaSの死」懸念で急落したITサービスセクターの行方に影響する。地政学リスクの影響を受けにくい小売セクターでは、好決算が素直に評価されやすく、資金の逃避先としての役割も意識されよう。ただし、小売りも、原油価格の上昇→企業の値上げという経路を通じて消費者の買い控えにつながる懸念があり、それほどディフェンシブ性が評価されないのではないかとも思われる。「変わり種」では古野電気。船舶関連は市場で話題のひとつだが、造船各社とともに伸びてきた日本の船舶機器メーカーには世界のトップシェアを誇る企業も多い。古野電気は商船用レーダーで世界シェアの4割を握る。この5年間で7割増と急成長を遂げている。同社の決算にも注目したい。余談だが、2月決算というと「小売や外食」というのが定番だったが、ここで見た通り、近年はそれ以外の業種の決算も注目されるように変化している。

テーマ別では、アルテミス2号の成功を受けて再び脚光を浴びている宇宙開発関連や、中東情勢の緊迫化を背景とした防衛関連セクターへの資金流入が注目される。米国市場においても、トランプ大統領の言動が予測不能な軍事決定を招くリスクが警戒されており、ハイテク株を中心に神経質な動きが続くことが予想される。そのため、東京市場でも指数全体を押し上げる力強さには欠けるものの、海外投資家が選別する優良銘柄や、政策的な追い風が期待できるテーマ株が、消去法的に買われる展開が続くと思われる。

総じて、外部の不確定要素に振り回されやすい局面ではあるが、市場が過度に「不安」を織り込む場面があれば、それは日本固有のファンダメンタルズを見直す好機ともなり得ることは忘れずにいたい。

予想レンジは4万9500円-5万4000円とする。米国のイランへの攻撃が激化するリスクが高く、5万円割れもあり得ると考える。