相場の内部では変化の兆し
今週の日本株相場は、引き続き強含みの展開が予想される。ただし、ここまで相場を牽引してきたAI・半導体関連株の過熱感が一段と意識される局面に入りつつあり、物色の広がりが進むかどうかが焦点となろう。
前週の日経平均株価は約3,000円上昇し、史上最高値圏まで上値を伸ばした。相場を支えた最大の要因は、中東情勢の緩和期待である。米国とイランの停戦協議進展への期待がリスクプレミアムを低下させ、世界的な株高につながった。加えて、米国のインフレ指標が落ち着きを示したことで長期金利上昇への警戒感も後退し、AI・半導体関連銘柄を中心に買いが集中した。
もっとも、相場の内部では変化の兆しも見え始めている。これまで主役であった電線株や一部半導体関連株に利益確定売りが見られる一方、村田製作所(6981)や太陽誘電(6976)、TDK(6762)などの電子部品株が急騰するなど、AI関連銘柄の中でも物色対象が移り変わっている。米国市場でもエヌビディア[NVDA]など大型半導体株一辺倒の展開から、AIサーバー、ネットワーク、量子コンピューティング、ソフトウエア関連へと資金が広がりつつあり、日本市場でも同様の循環物色が進む可能性が高い。
植田日銀総裁の講演と米雇用統計が最大の注目材料
今週の最大の注目材料は、3日に予定されている植田日銀総裁の講演と、5日に発表される米雇用統計である。市場では日銀の追加利上げ観測が後退しているが、植田総裁がこれを修正するような発言を行えば、銀行株や金融株の見直しにつながる可能性がある。一方、米雇用統計が市場予想を下回る内容となれば、米国の追加利上げ観測がさらに後退し、世界的なリスク資産選好を後押しする展開も想定される。
また、米国ではブロードコム[AVGO]やパロ・アルト・ネットワークス[PANW]などAI関連企業の決算発表が予定されている。ブロードコムはAIデータセンター向けネットワーク半導体の有力企業であり、その業績や見通しは世界のAI投資サイクルを占う重要な試金石となる。良好な内容となれば日本の半導体・電子部品関連株への追い風となる一方、期待先行の反動から材料出尽くしとなる可能性にも注意が必要である。
6月特有の需給要因が相場全体の下支え役に
さらに6月相場特有の需給要因も見逃せない。株主総会シーズン入りを控え、アクティビストファンドが保有する低PBR(株価純資産倍率)銘柄や資本効率改善期待の高いバリュー株への関心が高まりやすい。また、3月期企業の配当金支払いが本格化する時期でもあり、再投資資金が高配当株や出遅れバリュー株へ向かう可能性がある。AI関連株への資金集中が一服した場合でも、こうした銘柄群への資金シフトが相場全体の下支え役となろう。
日経平均はテクニカル面でも上昇トレンドを維持している。短期的な過熱感はあるものの、相場全体としては買い余力が拡大しており、大幅な調整局面入りを示唆するシグナルはまだ見当たらない。当面はAI関連株の循環物色と出遅れバリュー株への資金シフトが並行して進む形で、相場全体としては堅調地合いが続くと考えられる。
予想レンジは6万5000円-6万7500円とする。
