直近の価格動向:1,900ポイントを割り込む可能性も

J-REIT価格の下落基調が止まらない。東証REIT指数は2月に2,000ポイント前後でのボックス圏で推移していたが、米国とイスラエルが2026年2月28日にイランへの攻撃を開始すると3月に入り2,000ポイントから1,950ポイントでの推移となった。さらに3月23日には1,914ポイントと前日比40ポイントの下落となり、1,900ポイントを割り込む可能性も出てきている。

3月18日にジャパンリアルエステイト投資法人(8952)が増資を公表したが、調達想定額は200億円程度とJ-REIT市場全体の需給を悪化させるほどの規模ではない。一方で業績面を見ると長期金利の大幅な上昇の影響が出ている。

3月はJ-REIT市場上場58銘柄のうち、1月・7月決算の15銘柄の決算発表がある月であり、当期(2026年7月期)予想分配金は、中央値で3%弱の減配となる見通しである。次期(2027年1月期)は、中央値では当期並みの水準となる見通しである。つまり、当期で減少した水準が続く予想となっている。

減配予想の要因は、金利上昇だけでなく物件売却益の減少も加わっている。物件売却に関しては、不動産売買市場は高値圏で推移しているため、売却の計上により増配予想に転じる可能性が高い。したがって、業績面での懸念拡大がJ-REIT価格の下落要因になっているとは考えにくい。

米国長期金利上昇がJ-REIT価格下落要因、投資家にとって重要なポイントとは

日本の長期金利は、イランへの攻撃を受けてインフレ加速の可能性が生じ、3月23日には2.3%まで上昇した。この水準は、年初から上昇していたJ-REIT価格が下落に転じた1月下旬と同じ水準となっている。しかし日本の長期金利上昇が、J-REIT価格下落の主要因とは考えられない。急上昇は悪影響ではあるが、日本の長期金利が上昇する可能性が高いことは投資家側では想定できる状態であるためだ。

したがって、3月23日の下落要因は米国の長期金利上昇と考えられる。前回の連載で米国の長期金利低下の可能性が低くなったため、J-REIT価格はボックス圏での推移が想定される点を記載した。しかし、イランへの攻撃に伴うインフレ懸念が高まり、これまで想定されていた米国FRB(連邦準備制度理事会)の利下げは、利上げの可能性が生じるというネガティブサプライズへと変化している。つまり、日米の長期金利が高止まりする状況が続く可能性が高まっているため、利回り商品であるJ-REIT価格には「逆風」となっているのだ。

このように外部環境がJ-REITにとって価格下落要因となっているため、J-REITの各銘柄として可能な対応は、業績予想ベースでの増配基調と取り戻すことだと考えられる。国内金利上昇下でも、賃貸収益の増加や物件売却益の計上を積極的に行うことで業績面を重視する投資家を取り込む必要があるためだ。言い換えれば、投資家は物件売却を積極的に進めるなど外部環境悪化に対応して、増配基調を示す銘柄に投資することが当面は重要となりそうだ。