先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業版指数、香港ハンセン指数は揃って反発となりました。特に中国本土の株式市場は各指数とも非常に力強い上昇となり、上海総合指数は9月5日(金)までに6日続伸となり、1年半ぶりの高値を更新しました。9月1日(月)に発表された8月の中国製造業景況感指数は非常に悪い数字でした。8月の中国公式製造業景況感指数は51.1(7月実績51.7、市場平均予想51.2)、8月のHSBC中国製造業景況感指数確報値は50.2(7月実績50.3、市場平均予想50.3)となり、共に7月実績、市場平均予想を下回りました。しかし、その結果として低迷する景気を下支えするための追加景気刺激策への期待が膨らみ、株価が大きく上昇する原動力となっています。
その後に発表された8月の中国公式非製造業景況感指数は54.4(7月実績54.2)、8月のHSBC中国サービス業景況感指数は54.1(7月実績50.0)となり、こちらは逆に7月の実績を上回りました。特にHSBC中国サービス業景況感指数は1年5ヶ月ぶりの高水準に。これは中国の内需が堅調であることを示唆しているものとして見られ、株価上昇の一因となっています。セクター別では、追加景気刺激策や中国政府が進める国営企業改革の恩恵を受けやすいことから銀行株や石油株などの大型株が買われ相場を牽引しました。その他では、習近平国家主席が軍事力革新の推進に言及したことから、軍需関連株が買われています。
一方、香港株も強い基調ではあったのですが、中国本土株より上昇は緩やかでした。8月の米国雇用統計発表を控え、米国株がほぼ横ばいで推移したことや、成長エンジンであるモバイルゲームの業績停滞が懸念されるテンセント(00700)、中国の倹約政策の影響で業況悪化が続くと見られているカジノ関連株が売られ、相場の足を引っ張りました。今週は9月8日(月)に8月の中国輸出(前年比)(7月実績14.5%増、市場平均予想9.0%増)、8月の中国輸入(前年比)(7月実績1.6%減、市場平均予想3.0%増)、9月10日(水)に中国の8月の新規人民元建て融資金額(7月実績3852億元、市場平均予想7000億元)、9月11日(木)に中国の8月の消費者物価指数(7月実績2.3%増、市場平均予想2.2%増)が発表されます。また、9月13日(土)には8月の中国小売売上高(7月実績12.2%増、市場平均予想12.1%増)、8月の中国鉱工業生産(7月実績9.0%増、市場平均予想8.8%増)、1-8月の固定資産投資(1-7月実績17.0%増、市場平均予想16.9%増)が発表され、こちらも景気刺激策への期待に大きな影響を与えるために注目です。
コラム執筆:戸松信博