先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業版指数、香港ハンセン指数は揃って反落となりました。中国本土の株式市場は週初から弱い展開に。先週は新規株式公開(IPO)で10社が募集開始予定であったことから需給悪化懸念が広がった他、先々週に発表となった8月のHSBCの中国製造業景況指数(PMI)速報値が50.3と3ヶ月ぶりに低い数値に落ち込んだことなど、ここのところ続いている中国経済指標の弱い結果により、中国経済の先行きに対する懸念が増大しました。このため、石炭などの景気敏感株やここのところ大きく上昇していた小型株が売られ、指数を引き下げました。

その後、中国当局が8月27日(水)に環境保護や医療関連にかかる景気刺激策を発表しましたが特に大きく材料視されませんでした。逆に8月28日(木)には7月の中国工業セクターでの企業利益が7月実績13.5%増、1-7月累計実績11.7%増と発表され、6月実績17.9%や1-6月累計実績11.4%増に比べて弱かったことから中国経済への懸念感を増す結果となり、軟調な展開が続きました。ただ、8月29日(金)は10月にも国営企業改革案が発表されるのではないかという観測から、恩恵を得られるとみられる防衛、航空、宇宙関連株が買われて反発して引けています。

香港株も週を通して弱い基調が続きましたが、こちらは逆に週末にかけて下げる展開となっています。2014年上半期決算が軟調な結果となった中国石油(00857)や中国農業銀行(01288)、更には中国経済の先行き懸念から中国工商銀行(01398)など中国大手銀行株が全般的に売られ、指数を引き下げました。今週は9月1日(月)に8月の中国公式製造業景況感指数(7月実績51.7、市場平均予想51.2)、8月のHSBC中国製造業景況感指数確報値(7月実績51.7、市場平均予想50.3)、9月3日(水)に8月の中国公式非製造業景況感指数(7月実績54.2)、8月のHSBC中国サービス業景況感指数(7月実績50.0)、翌週9月8日(月)に8月の中国輸出(前年比)(7月実績14.5%増、市場平均予想10.7%増)、8月の中国輸入(前年比)(7月実績1.6%減、市場平均予想2.0%増)などが発表されます。いずれも相場に大きなインパクトとなる可能性があるため、注目です。

コラム執筆:戸松信博