信用買い残が5.1兆円に拡大

信用買い残(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)が1月23日現在、5兆1161億円と5兆円台に膨らんできました。2006年6月2日(5兆2830億円)以来、約19年7ヶ月ぶりの高水準になったそうです。潜在的な売り圧力が増加していることや、株式市場全体が急落するような状況になると、買い方に追い証が発生し、投げ売りが下げ幅を拡大する要因になるとして警戒されています。

ただ、そうはいっても、2006年当時の東証1部の時価総額は500兆円程度であり、プライム市場の時価総額が1200兆円まで膨らんだ現在とは、同じ5兆円でも意味がまったく違います。1日あたりの売買代金も当時(2006年6月)は2兆5500億円程度だったのに対して、直近の2025年12月は5兆8000億円程度です。

信用買い残を考える上で参考になる「評価損益率」

昨今、株式手数料の無料化が浸透して回転売買がしやすくなっているため、大幅な増加は考えられませんが、時価総額比で見た信用買い残が2006年当時と同じ1%とすれば、12兆円程度まで膨らまないと過熱感があるとは言い切れないでしょう。

一方、信用買い残を考える上で比較的参考になる指標は、「評価損益率」です。市場全体の過熱感を表す指標として古くから注目されています。評価損益率とは、信用取引の未決済建玉の合計の評価損益がどのくらいかを推計したものです。株式市場全体が活況になると上昇銘柄が増えます。

信用取引で買い建てた銘柄の価格が買い値を上回り評価益が増えると、評価損益率は好転します。株式市場全体が低迷すると下降銘柄が増えます。信用取引で買い建てた銘柄の価格が買い値を下回り評価損が増えると、評価損益率は悪化します。

1月16日時点の評価損益率は-1.21%

評価損益率は、-20~-5%程度で推移することが多く、プラス値は滅多にありません。評価損益率が-10%を上回り、0%に接近すると、買い意欲は強いものの市場に過熱感があり、相場が天井を打って反落する時期が近いシグナルになることがあります。

逆に、評価損益率が-20%に近づく、あるいはそれを下回ってくると、投資マインドの悪化により買い意欲は減退するものの、相場が底入れして反騰に転じる時期が近いとの判断材料になります。

1月16日時点の評価損益率(東京・名古屋2市場、制度信用と一般信用の合計)は-1.21%です。過去10年間を振り返っても、ここまで改善したことはなく、滅多にない水準です。なお、2003年以降の22年間で、週間ベースでプラスになったのは19週程度しかありません。特に、2013年4~5月にかけてはプラスの週が6週間続いた後、2013年5月のバーナンキ・ショックで株価が大きく下落し、2013年6月には-15%台まで低下した経緯があります。