2026年1月30日(金)8:50発表
日本 鉱工業生産指数2025年12月速報値

【1】結果:生産伸び悩みも先行きでは大きく改善が見込まれる

2025年12月の鉱工業指数は、生産指数が前月比0.1%減と小幅ながら生産減となりました。11月は同2.7%減であったことから、2ヶ月連続での減少です。個別では、半導体製造装置などの生産用機械が同1.9%減、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品除く)が同2.9%減となり、全体を押し下げました。

一方、コンベヤなどの汎用・業務用機械工業は前月比7.3%増、電気・情報通信機械工業は同2.7%増となりました。非製造業やサービスの活動を捕捉する第3次産業活動指数は2025年11月までのデータが公表されていますが、11月は前月比0.2%減となり、一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動きと評されています。

先行きの生産予測では2026年1月に前月比9.3%増、2026年2月に同4.3%減が見込まれています。実績とのズレを統計的に補正した補正値では1月は同7.2%増と予測値と比べると小さいものの、比較的大きな上昇が見込まれており、生産水準の切りあがりが期待されます。業種別には、輸送機械工業が1月に大きく上昇する見込みとされているほか、汎用・業務用機械工業も上昇が見込まれています。

【図表1】鉱工業生産・第3次産業活動指数の推移
※鉱工業生産指数は2020年=100、第3次産業活動指数は2019-2020年平均=100、2指数ともに季節調整済
出所:経済産業省よりマネックス証券作成

その他、出荷は前月比1.7%減となり2ヶ月連続で減少、在庫は同1.0%増で積み増し、在庫率は同1.9%上昇となりました。総じてみれば、一進一退の推移と評価されています。

【図表2】鉱工業出荷・在庫・在庫率指数の推移(2020年=100、季節調整済)
出所:経済産業省よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:電子部品・デバイスの在庫循環に注目

足元の株式市場では半導体などがけん引しており、日本を代表する株価指数であるTOPIXは2026年1月15日に最高値である3,668ポイントをつけ最高値を更新しました。足元の半導体株高にあるように日本市場は電気機器セクターが市場をけん引してきた中で(図表3)、過剰投資なども指摘されており高値警戒感も意識される局面と言えるでしょう。そこでファンダメンタルズの観点で更なる上値が目指せるか確認してみます。

【図表3】過去半年のTOPIX、TOPIX電気機器の推移(2025年7月31日=100)
出所:ブルームバーグよりマネックス証券

鉱工業生産指数を用いて、電気機器セクターのファンダメンタルズを確認するには「電子部品・デバイス」の生産・出荷・在庫状況を確認します。具体的には、生産が拡大局面にあるのか/減少局面にあるのか、需要が旺盛で在庫が減少しているのか/ニーズが弱く在庫が積み増されているのかを確認します。図表4は在庫循環図と呼ばれる、生産と在庫の増減を4象限で図示したものです。

在庫循環図は、横軸に生産トレンド、縦軸に在庫トレンドをとり散布図にしており、反時計回りに推移する傾向があります。ここ数年は、在庫の削減(在庫の前年同月比がマイナス)が進む中で生産は一進一退となっていました(③・④を行き来)。足元では在庫が2ヶ月連続前年同月比プラスで推移しており、反時計回りに動く傾向から、先行きでは象限①に移行する可能性が高まっています。

【図表4】電子部品・デバイスの在庫循環図
出所:経済産業省よりマネックス証券作成

上記の局面において、株価指数の平均騰落率を集計した結果が図表5です。生産拡大/在庫減少である④の局面では株価はポジティブであるのに対し、在庫が積み上がり、生産抑制をする②の局面で株価は軟調に推移する傾向がうかがえます。足元の在庫循環は①の局面での推移が見込まれますが、この局面でも過去の平均では月次で10%以上のリターンが得られています。生産が堅調に推移する局面ではファンダメンタルズの観点からも堅調な株価が期待できると言えるでしょう。

【図表5】在庫循環図のポジション毎のTOPIX電気機器の平均月次リターン
出所:経済産業省、ブルームバーグよりマネックス証券

【3】所感:自動車など2025年から回復し2026年前半は底堅い景気か

2025年はトランプ政権が誕生し、関税政策により輸送機器を中心とした輸出関連企業に負担が大きい1年となりました。今回の鉱工業生産指数における先行きの生産予測をみても、輸送機器関連はある程度不確実性を消化し、生産拡大を目指す局面と考えられます。

また、電子部品・デバイスを中心とした電気機器セクターも、半導体がけん引する部分がありますが、在庫が積み上がっている様子は見られず、先行き数ヶ月は良好なファンダメンタルズ環境が予見されます。これらを踏まえると、2026年1-3月期の国内の景況感は底堅い推移となると想定しています。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太