モトリーフール米国本社 – 2026年1月18日 投稿記事より
消費支出が好調に推移する中、業界によって明暗が分かれる
米国勢調査局が最近発表した2025年11月の小売統計は、小売・消費関連銘柄に好材料となりました。小売売上高は前月比0.6%増、前年同月比では3.1%増加し、自動車関連とガソリンを除くコア小売売上高は前月比0.5%増、前年同月比では4.4%増加しました。
この統計報告を読み解き、勝ち組・負け組候補銘柄についてみていきましょう。まずは、勝ち組から始めます。
アマゾン・ドット・コム[AMZN]
アマゾン[AMZN]のような電子商取引(eコマース)企業を含む無店舗小売業者の2025年11月の売上高は、前年同月比7.2%増加しました。eコマースのトップ企業であるアマゾンにとって、これは好材料となる可能性が高く、最近の販売の勢いが続いていることを示唆しています。
さらに、アマゾンではスポンサー広告事業の成長に加え、ロボットや人工知能(AI)を活用した効率化によって、小売事業の営業レバレッジ効果も高まっています。そこにクラウド部門であるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の成長加速が加われば、アマゾンの株価は2026年の反転・上昇に向け好位置につけていると言えるでしょう。
ナイキ[NKE]およびディックス・スポーティング・グッズ[DKS]
11月の米小売統計で最も好調だったカテゴリーの1つがスポーツ用品で、11月の売り上げは前年同月比7.8%増加し、スポーツ・アパレルも同7.5%の伸びを示しました。加えて、12月下旬にはナイキの経営陣による自社株買いが活発に行われ、これらは、ナイキ[NKE]の事業再建が軌道に乗り始めていると受け取ることができます。
社内関係者の自社株買いの具体的な例としては、最高経営責任者(CEO)のエリオット・ヒル氏が100万ドル超の株式を購入し、ナイキの取締役でありアップルのCEOでもあるティム・クック氏は約300万ドル相当のナイキ株を購入しました。
ナイキは2026年度、北米と欧州で売り上げの回復がみられ始めていますが、中国事業の立て直しや、値引き販売や関税の影響によって低下した粗利益率の回復といった課題は以前として残っています。それでも、同社の業績は望ましい方向に進んでいるようです。
そして11月の小売統計を見ると、ディックス・スポーティング・グッズ[DKS]も魅力的な勝ち組候補に見えます。ディックスは顧客を呼び込むために「体験型」販売への取り組みを強化しており、同社の中核事業です。
しかし、ディックスは現在、最近買収したスポーツ用品チェーン大手フット・ロッカーとの統合を進め、不採算店舗の閉鎖や滞留在庫の整理を通じて、事業改善に取り組んでいる最中です。ディックスが公表するガイダンスは控えめに設定されているため、今後に向けた環境は比較的良好だと考えられます。
Elfビューティー[ELF]
11月の米小売統計から、もう一つの魅力的な勝ち組候補として挙げられるのがElfビューティー[ELF]です。薬局や化粧品販売店を含むヘルス&パーソナルケア店舗の11月売上高は前年同月比6.7%増と好調でした。Elfビューティーの製品は両販売チャネルで扱われるため、この結果は同社にとっての好材料です。
Elfビューティーの主力ブランドは、この分野で長年にわたり市場シェアを拡大してきました。さらに、同社が最近買収した人気のスキンケアブランド「Rhode」(ロード)は、2025年9月に高級ブランドLVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン傘下の化粧品・美容専門チェーン、セフォラの店舗で好調なデビューを果たしました。大衆向け化粧品の売上が回復しつつあり、「Rhode」の長期的な成長余地も大きいことから、2026年のElfビューティーを取り巻く事業環境は良好に見えます。
トースト・インク[TOST]
11月の米小売統計で好調だったもう一つの分野は「飲食サービスおよび酒類提供店」で、前年同月比4.9%の売上増となりました。これは、レストラン向けソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)を提供するトースト[TOST]にとってプラスに働くとみられます。同社は決済処理ソリューション事業でも顧客の売上増加の恩恵を受け、さらに新規店舗への導入によって急速に事業を拡大しています。レストラン売り上げの増加は同社にとってさらなる追い風となる可能性があります。
苦戦する可能性がある銘柄
11月の米小売統計は全体として堅調だったものの、すべての業界が好調だったわけではありません。家具と建材・園芸用品販売業者はどちらもマイナス成長となり、家具店は前年同月比で1.4%減、建築資材・園芸用品店は2.8%減となりました。
これは、住宅用家具市場が厳しい状況にある中で、、コストが嵩む欧州進出を進めようとしているアールエイチのような家具関連企業の売上に重くのしかかる可能性が高いでしょう。
米トランプ政権が、一部の家具について関税引き上げを2027年まで延期すると発表したことを受け、アールエイチの株価は2026年の年初から急上昇していますが、市場環境自体は依然として厳しい状況が続いています。
一方、ホームセンター大手のホームデポ[HD]とロウズ・カンパニーズ[LOW]はここ数年、既存店売上高の成長に苦戦しています。両銘柄とも2026年は好調なスタートを切っていますが、業界に続くさまざまな課題を考えると、この流れが今後も続くかどうかは、まだ見極めが必要です。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Geoffrey Seilerはアマゾン・ドットコム、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン、トースト、Elfビューティーの株式を保有しています。モトリーフール米国本社はアマゾン・ドット・コム、アップル(AAPL)、ホームデポ、ナイキ、トースト、Elfビューティーの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社はロウズ・カンパニーズとアールエイチを推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。
