「買われ過ぎ」懸念強いユーロ=円と米ドルはほぼ中立

ヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋のポジションを見ると、2025年末時点で円は米ドルに対して特に「買われ過ぎ」でも「売られ過ぎ」でもなくほぼ中立で(図表1参照)、米ドルのポジション(主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、カナダドル、豪ドル)も同じようにほぼ中立(図表2参照)だ。

【図表1】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2005年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
【図表2】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2000年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

これに対して、ユーロの対米ドル・ポジションは約16万枚の買い越しで、これまでの実績からすると「買われ過ぎ」懸念が強いと言えそうだ(図表3参照)。このデータを参考にすると、中期的にはユーロ買いの余地は限られ、ユーロ売りの余地が大きいということになるだろう。

【図表3】CFTC統計の投機筋のユーロ・ポジション(2010年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

以上から、あくまでこのCFTC統計の投機筋のポジションを参考にするなら、円、米ドル、ユーロという三大通貨の中で2026年中に最も成功の確率が高いと考えられるのは「ユーロ売り」になるのではないか。

対円での「上がり過ぎ」懸念が強まるユーロ=5年MAかい離率

次に、過去5年の平均値である5年MAとの関係を見てみよう。主要な通貨ペアには一定の範囲を循環する修正があるため、5年MAからのかい離率は中期的な「上がり過ぎ」、「下がり過ぎ」を判断する手掛かりになる。

5年MAかい離率で目立つのは、円に対するユーロの「上がり過ぎ」懸念だ。ユーロ/円の5年MAかい離率は2025年末時点で20%程度だが、過去の実績からすると、同かい離率の20%以上は「上がり過ぎ」懸念が強いと言える(図表4参照)。

【図表4】ユーロ/円の5年MAかい離率(2000年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

では、ユーロと米ドルの関係はどうか。ユーロ/米ドルの5年MAかい離率は、2025年末時点で6%程度。過去には同かい離率が20%以上に拡大したこともあったことを考えると、これは極端にユーロ「上がり過ぎ」懸念が強いというものではないだろう(図表5参照)。

【図表5】ユーロ/米ドルの5年MAかい離率(2000年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

ただし2010年以降では、同かい離率が5%以上に拡大したことも少なくなかった。その意味では、この10年余りの感覚からすると、ユーロは米ドルに対しても「上がり過ぎ」懸念が強くなってきた可能性があるのかもしれない。

政策金利は「米国>ユーロ圏>日本」=総合判断は「ユーロ売り」の可能性

すでに見てきたように、投機ポジションではユーロの「買われ過ぎ」懸念が強くなっていた。それに加えて、5年MAかい離率で見ると、ユーロは対円中心に「上がり過ぎ」懸念も強くなってきたようだ。

そのユーロの金利は、政策金利で比較すると、2025年末時点で2.15%なので、0.75%の日本よりは高いものの、3.75%の米国に比べるとまだかなり低い(図表6参照)。こうした金利の比較も参考にすると、2026年中という中期スパンにおいてはやはり「ユーロ売り」が成功する確率が高いのではないか。

【図表6】日米欧の政策金利(2020年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

円と米ドルどちらの「買い」が有効かは微妙=米国主導の株高の行方次第か

三大通貨の中でユーロが「売り」なら「買い」は米ドルと円のどちらが有効かと言えば、これはかなり微妙だと思われる。すでに見てきたように、投機ポジションでは円、米ドルともほぼ中立だった。そして、米ドル/円の5年MAかい離率は2025年末時点で14%程度(図表7参照)。これは円に対して、米ドルが割高になっていることを示しているが、ただ2024年までに同かい離率が30%前後まで拡大したことを考えると、極端な米ドルの「割高」「上がり過ぎ」という感じではない。

【図表7】米ドル/円の5年MAかい離率(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

その上で、政策金利を比べると、依然として大きく「米国>日本」という状況が続いている。それを踏まえると、米ドルが対円で「上がり過ぎ」拡大に向かう可能性もなくはないだろう。以上のことから、米ドルと円のどちらの「買い」が有効かは判断が迷うところだが、最終的には米国が主導した世界的な株高の行方などによって、2026年において米ドルと円でどちらの「買い」が有効かが決まることになるのではないか。