止まらない長期金利上昇=「責任ある積極財政」の「責任」が不明確

10月の高市政権誕生を前後して急拡大した米ドル高・円安、いわゆる「高市円安」は、これまでのところ157円台で一服。先週(11月24日週)は一時155円台まで米ドル安・円高に戻す場面もあった。ただし、「高市円安」と基本的に連動してきた日本の財政リスクを懸念しているとされる長期金利の上昇は、まだ一段落した感じはない(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円と日10年債利回り(2025年9月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

これについて日本政府関係者の1人は、高市政権が表明している「責任ある積極財政」の「責任ある」の部分がなお不明確なことに原因があるだろうとの見方を示した。高市政権は11月に、「コロナ・ショック」以降では最大規模の経済対策を発表した。「最大規模の経済対策」により「積極財政」を示すことになったものの、一方でプライマリー・バランス(PB)の単年度黒字化目標を取り下げるなど、むしろ「財政への責任」とは逆行する動きが続いているとの受け止め方が強い。それが長期金利上昇の止まらない状況をもたらしている可能性がある。

このため前出の政府関係者も、「財政への責任」を急ぎ明確化する必要があるだろうとの見方を示した。「次の骨太の方針まで待つような余裕などなく、おそらく2026年度予算案を閣議決定する12月下旬までに、財政への責任を何らかの形で具体化する必要があるだろう」(同筋)。

「トラス・ショック」再来回避のヤマ場はこの12月の可能性

日本の長期金利上昇と円安の連動は、すでに半年以上も続いてきた(図表2参照)。この背景には、日本の財政規律への懸念を受けた資本流出拡大があるとみられている。そして、「そうしたことを囃した債券売り、円売りで利益を上げることを狙っている投機筋の動きの影響も大きいだろう」と前出の政府関係者はみている。

【図表2】米ドル/円と日10年債利回り(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

その上で、「対応を誤れば、2022年に英政府の財政政策への懸念をきっかけに起こった通貨、株式、債券のトリプル暴落、いわゆる『トラス・ショック』のようなことが日本で再現するリスクもある」との見方をこの政府関係者は示した。

高市内閣は、一部の世論調査では支持率が8割に達するなど異例なほどの高い支持率でのスタートなった。このまま、第2次安倍政権以来の長期政権に向かうのか。その鍵を握るのが、最近の対中関係など外交問題などとともに、この日本版「トラス・ショック」を回避できるかということであり、その最初の大きなヤマ場は早速この12月中に見られる可能性がありそうだ。