もち合いを下放れ、下降トレンド発生の危機か?

前回「【日本株】調整局面入りか、移動平均線とモメンタムの水準がそのカギを握る」は、「11月4日と5日につけた高値と安値のどちらをブレイクするかがトレンド発生のカギ」と記載しました。11月18日、ついに11月5日の安値と上向きの25日移動平均線を一気に下回り、下降トレンド入りへの警戒が高まってきました。

また、値幅を伴う下落が発生したことで、これまで何度か指摘してきた高市トレードラインに接近して終えています。このラインは、5月13日の終値と8月18日の終値を結んで延長したトレンドラインになります。

高市自民党総裁が誕生するまでは上値の抵抗線でしたが、新総裁の誕生を受けて取引が始まった10月6日にこのトレンドラインを上回ったことから、このトレンドラインはレジスタンスラインからサポートラインに変わり、上昇トレンドが継続するかどうかのテクニカル的な判断材料となっています。

【図表】日経平均株価(日足) 
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、75日(グレー線)で設定
※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示

公明党が自公の連立から離脱すると伝わって初めての取引日となる10月14日にこのトレンドラインまで下落する場面もありましたが、割り込まずに反発すると、11月4日には取引時間中に52,636円の高値をつけるなど、上昇トレンドが継続していることが分かります。

こうした状況の中、11月18日の日経平均は大幅安で高市トレードラインまで下落しました。このトレンドラインで下げ止まって反発に転じ、10月14日以降の値動きを繰り返すことになるのかが、注目ポイントになりそうです。

仮にこのトレンドライン上を維持して反発するようですと、中長期の上昇トレンドと高市自民党総裁が誕生してからのトレンドに変化はないことになるため、年末高への期待と高市トレードの継続が期待されます。

一方で、このトレンドラインを下回って戻せなくなるようですと、下降トレンドが発生し、高市自民党総裁が誕生したときに発生した(10月3日と6日の間にあけた)窓を埋める水準まで下落することが視野に入り、年末高への期待は後退しそうです。

高市トレード継続のカギを握るモメンタムの方向と水準

上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が急低下するとともに、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ラインを下回っているのが分かります。また、2025年9月の低い水準も下回っており、9月以降では最も下落の勢いが強まっていると考えられます。そのため、2本線の低下が続くかが、高市トレードが継続できるかどうかのカギを握っていると言えるでしょう。

そうした中、仮に2本線の低下が継続するようであれば、下落の勢いがさらに強まるとともに、株価もトレンドラインを下回って下落が続くことが考えられる反面、2本線が低下しても限定的だったり、上向きに変化して0ラインに接近して上回ったりするようですと、トレンドライン上を維持して5日移動平均線上や25日移動平均線上を回復することも視野に入るのではないかと思われます。

今週(11月17日週)で高市トレードが終わるのか、あるいは継続するのか、重要な局面に差し掛かっていると考えられ、目が離せない一週間になりそうです。