先週のビットコイン(BTC)は、一時ドル建てで99,000ドルを割り込む展開となりました。背景には、海外のDeFiステーブルコイン市場で発生したデペッグ(価格乖離)問題があり、小規模ながら(1億ドル規模前後)複数のプロジェクトで資金が引き出せない状況が生じました。
しかし、11月7日(金)のNY時間には、米政府の一部機関閉鎖解除への期待報道が流れたことで反発に転じ、さらに9日(日)にはトランプ米大統領がSNS上で「富裕層を除く全米国民に対して、関税収入を財源とした一人あたり2,000ドルの給付を行う」と投稿したことで、市場心理が改善し上昇に勢いがつきました。
短期的には一旦ボトムをつけた可能性も見え始めています。
BTC(ビットコイン)は200日移動平均線まで回復
BTC/JPYの日足チャートです。1,620万円付近に位置する200日移動平均線(SMA200:橙)が戻り高値の目安として意識されやすい局面です。この水準を明確に割り込むと、過去の傾向から2か月以上の調整局面入りすることが多いため、現状では上値追いには慎重な姿勢が必要です。
日足の下降トレンドラインと、短期・中期移動平均線(SMA30:黄、SMA90:水色)がほぼ同水準で推移しているため、上昇してもこれらのライン付近で上値が抑えられる可能性が高いと見られます。今週のBTCに関しては、戻り高値は限定的となる公算が大きいでしょう。
続いてBTC/JPYの4時間足では、下降トレンドラインに到達しています。この水準からは上値が重くなりやすい展開が想定されます。MACDも0.00付近まで回復していますが、この位置は一時的な停滞局面となりやすい傾向にあります。
加えて、SMA90(水色)およびSMA200(橙)が今週前半には1,620万円付近まで下がってくる見通しであり、1,700万円を明確に上抜けない限り、1,600万円台での推移がしばらく続く可能性が高いでしょう。現時点では静観姿勢を強めたい局面です。
ETH(イーサリアム)は並行チャネルレンジ内で推移、売り場となりやすい水準に接近
ETH/JPYの日足チャートです。SMA200(橙)でサポートを受けて反発している状況で、現在は56万円付近にあるレジスタンスラインが上値の重しとなっています。仮にこの水準を突破すれば、週後半には並行チャネルレンジの上限ライン到達も視野に入りますが、再び反落する場合はSMA200付近での押し目買いが入りやすいでしょう。
ただし、10月以降は高値・安値をともに切り下げており、全体としては下降トレンドを維持しているため、積極的な買いは控えたい形状です。
ETH/JPYの4時間足では、56万円台前半にレジサポラインおよびSMA90(水色)が位置しており、テクニカル的には売り場となりやすい水準です。MACDも0.00まで回復しており、ここから反転する場合、一定の下落トレンドが発生しやすい局面といえます。
MACDがミドルライン付近で反転する際は、その後の動意方向にトレンドが出やすい傾向があるため、この停滞局面は今後の転換点となる可能性があります。現状、この水準は短期的な売り場と捉え、ポジションを一部縮小しながら様子を見るのが賢明でしょう。
BTC・ETHともに、日足および週足ベースのチャート形状は依然として悪化傾向にあります。短期的な反発は見られるものの、トレンド転換には至っておらず、引き続き下値模索の展開が続く可能性が高いと考えられます。
今は焦らず、相場が落ち着くのを待ちながら、押し目のチャンスを見極める局面と考えます。
