S&P500とナスダック100は堅調に推移、企業決算は「極めて好調」
先週(10月27日週)の米国株式市場は、第3四半期の決算発表が順調に進む中、AI関連を中心とした大型テクノロジー株が再び買い戻されました。S&P500は週間で+0.71%上昇、ナスダック100は+1.97%と堅調な推移を見せました。
生成AI(生成型人工知能)関連投資の拡大が引き続き市場を牽引し、半導体、クラウド、ロボティクスといった成長セクターが相場を押し上げました。一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ時期を巡る思惑が上値を抑える展開となりました。
先週(10月27日週)はS&P500構成企業のうち170社以上、すなわち指数の基礎収益の40%以上を占める企業が決算を発表しました。その内容は良好どころか「極めて好調」と言ってよい水準であり、予想を上回る企業の割合は過去4年間で最も高い水準となりました。
ただし、好決算を発表した企業の株価上昇は控えめで、逆に業績未達となった企業の株価下落は大きいという明暗がくっきりと分かれる展開でした。割高なバリュエーションと高い期待感が織り込まれている現状を考えれば、こうした市場の反応は自然とも言えます。
アマゾン・ドットコム[AMZN]の株価が大幅高、ブロードコム[AVGO]も時価総額6位に
具体的には、いわゆる「マグニフィセント・セブン」のうち2社が対照的な動きとなりました。アマゾン・ドットコム[AMZN]の株価は10月31日(金)に大幅高となり、一方でメタ・プラットフォームズ[META]の株価はその前日に3年ぶりの大幅下落を記録したのです。
それでも市場全体は引き続きマグニフィセント・セブン主導で上昇しており、年初来のマグニフィセント・セブン銘柄の平均上昇率はおよそ25%に達しています。さらに、先週(10月27日週)はエヌビディア[NVDA]、アップル[AAPL]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]の株価がそろって新高値を更新しました。
そのような中、ブロードコム[AVGO]が勢いを強め、マグニフィセント・セブンの一角に迫る存在となり、メタ・プラットフォームズの下落を受けて現在は米国株市場で時価総額第6位に浮上しています。
テスラ[TSLA]は2024年末の高値から、2025年4月までに時価総額を半減させましたが、その後、回復しました。それでも現在は第8位です。振り返れば、イーロン・マスク氏が政治発言に熱中していた今春には、テスラはウォルマート[WMT]やイーライ・リリー[LLY]と並ぶ「その他大勢」に埋もれて第10位に沈んでいましたが、今では完全に復活を遂げています。
「AIインフラ投資の第二波」スタートか、エネルギー株は軟調
セクター別ではAI関連が相場を主導し、エネルギーは反落しました。情報技術(IT)と一般消費財セクターが上昇を牽引し、マイクロソフト[MSFT]とアルファベットは好決算を発表。AI需要の拡大を背景にクラウド事業が再加速しました。アマゾン・ドットコムもAWS(クラウド)部門で利益率の改善を示し、ハイテク株全体への資金流入を後押ししました。
半導体ではエヌビディアが再び買い直され、週間で約+9%上昇。「AIインフラ投資の第二波が始まった」との見方が広がっています。
一方、エネルギー株は原油価格の下落を受けて軟調でした。WTI原油先物は1バレル当たり80ドルを割り込み、10月中旬から約8%下落。中東情勢の緊張緩和と米国の原油在庫増加が重しとなりました。
投資家心理は引き続き安定しており、恐怖指数(VIX)は15前後で推移しています。年初から続く「AI主導相場」が市場センチメントを支え、個人投資家のリスク選好も回復傾向にあります。
11月はS&P500の最強シーズンの幕開け、過去統計が示す「年末上昇」の確率
11月は、S&P500にとって年間で最も好ましい3ヶ月および6ヶ月期間の幕開けとなります。季節性データ(1928年以降)に基づくと、11月から1月にかけてのS&P500の平均リターンは+3.6%、上昇確率は67%です。これは、通常の3ヶ月間における平均リターン+2.0%、勝率63%を上回る好成績です。
一方で、8月から10月は歴史的にS&P500にとって最も弱い3ヶ月間とされ、上昇確率は66%、平均リターンは–0.1%にとどまります。しかし、2025年のS&P500はこの「鬼門」とされる期間を大きく突破し、+7.9%の上昇を記録しました。
このように、8月から10月が強かった年には、その勢いが年末まで持続する傾向があります。統計的には、このケースにおける11月から1月の上昇確率は74%、平均リターンは+4.2%と、通常の年の平均値を上回ります。
近年では、AI関連株を中心に「年末ラリー」への投資行動が早期化する傾向も見られ、2025年もその典型的な局面に入った可能性があります。こうした過去の統計的優位性に加え、金利低下観測やこのまま堅調な企業利益成長が続けば、2025年の「年末ラリー」は歴史的パターンをさらに強化する可能性があります。私が予想していたS&P500の7,000ポイント達成もまさに時間の問題となりそうです。
