高市トレードが一巡するタイミングはいつか

「高市トレード」の賞味期限は、今週(10月20日週)いっぱいとなる可能性が高いです。もっとも、高市氏に関連する銘柄は安全保障や先端技術など、分野が幅広いほか、時流に乗ったテーマが多いだけに関連銘柄の物色は続くことになるでしょう。ただし、それは部分的だと思います。

前回の「【日本株】日経平均は2005年のように短期調整で終わるか」の中で、日経平均の変化日について説明しました。自民党総裁選が実施される直前の9月25日高値の変化日は、年初来安値となった4月7日安値から「117日」の日数でつけた高値で、これは2024年10月15日の高値から4月7日安値までに要した「116日」の日数と応答するものでした。

10月9日高値の変化日は、4月7日の安値から「127日」の日数でつけた高値で、こちらも2024年9月27日高値から4月7日の安値までに要した「127日」の日数と応答するものでした。

次に到来する変化日候補は10月24日です。これは4月7日の安値から「137日」の日数が経過するタイミングであり、2024年9月11日の安値から4月7日の安値までに要した「137日」の日数と応答しています。そして、それは「高市トレード」が一巡するタイミングと考えられます。

今後の日本株上昇の要因となるのは?

今後、日本株上昇のカタリストは、国内の政治要因主導から為替や米国株など外部要因に連動性を強める地合いにシフトしていくことが想定され、特に米ドル高・円安への動きが強いインパクトになるとみています。それに加えて、来週からは国内企業の決算発表が始まるため、決算プレーにも目が向きやすくなります。

以下は、9月16日付け「【為替】当面は米ドル円相場に留意か」にて説明した内容です。

月足の米ドル円チャートを一目均衡表の遅行スパン(現在の価格水準を26ヶ月前にずらして描いたラインチャート)といっしょに見ると、ちょうど遅行スパンと当時の価格水準(ローソク足)が接しています(図表1)。
これは同じような波形で動いている米国の10年債利回りと同じ現象です。両者ともに分岐点に近い、と捉えることができる重要な局面になるかもしれません。特に10月に強く米ドル高・円安になるか、それとも強く米ドル安・円高になるか。その振れた方向に当面トレンドが発生することが予想されます。
【図表1】米ドル/円チャート(月足)、一目均衡表:転換線(橙色)、基準線(紫色)、遅行スパン(緑色)、先行スパン1(赤紫色)、先行スパン2(水色)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年9月16日時点)

当面のトレンドは米ドル高・円安か、次の大きな高値は1ドル=170円台

おそらく、10月以降1ドル=153円台まで入った動きが「米ドル高・円安」の初動の動きになった可能性が高いでしょう。2024年7月高値を起点に2025年1月高値を通る抵抗線まで上昇する結果となりましたが、その後の短期的な揺り戻し(米ドル安・円高)も一目均衡表の基準線(149.37円)まで押しを形成し、すでに終了した可能性が高いです(図表2)。

【図表2】米ドル/円チャート(月足)、一目均衡表:転換線(橙色)、基準線(紫色)、遅行スパン(緑色)、先行スパン1(赤紫色)、先行スパン2(水色)
出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年10月21日時点)

ここから当面のトレンドが米ドル高・円安に本格的に向かうとすれば、日本株のさらなる上昇のカタリストになることが予想されます。米ドル円の長期チャートを眺めると、次の大きな高値は1ドル=170円台に見えます。

今の株高の証左を後から確かめるには、企業業績の上方修正が必要です。これから米国による関税の影響が出現する可能性が高いこと(植田日銀総裁も気にされている)や、米景気の減速感が一段と強まる場合、果たして需要増大による業績の上方修正は期待できるでしょうか。 むしろ、当面は米ドル高・円安が主たる上方修正の要因になることをメインシナリオにせざるを得ない状況になると予想されます。