高市氏はアベノミクス支持が困難に=トランプ政策と逆行
次期自民党総裁の有力候補の1人である高市早苗氏は、かつてはアベノミクスの継承者を主張していた。アベノミクスは、大胆な金融緩和とそれに伴う円安容認でデフレからの脱却を目指すというもの。これでは、完全に「米国との不均衡な貿易関係を助長するマクロ経済政策」になるだろうから、トランプ政権との関係を考えたらとても表明できないのではないか。
また、前回の自民党総裁選では、高市氏の「いま金利を上げるのはアホやと思う」という発言が話題になった。ただベッセント財務長官は最近、「日銀はインフレ対策で後手に回っているかもしれない」、「日銀は利上げすべき」などと、上述の「高市発言」と逆の見解を示した。
以上のように見ると、高市氏は前回の自民党総裁選から経済政策の考え方を大きく変える必要がありそうで、それができなければトランプ政権との関係が総裁選では足かせになる懸念もあるのではないか。
トランプ政策に近い河野氏の考え方=総裁選への影響は?
アベノミクスとは正反対の考え方を最近主張しているのが河野太郎前デジタル担当大臣だ。インフレの抑制には円安の是正が不可欠であり、政策金利の引き上げが必要との見解を最近繰り返している。
これは、トランプ政権の考え方に近いと言えるだろう。河野氏は、前回の自民党総裁選では決選投票にも進めなかったが、経済政策においてトランプ政権の考え方に近いことが、今回の総裁選においてどれだけプラス効果をもたらすか注目してみたい。
消費税減税は円安への影響も鍵=財源の明確化期待の可能性も
自公連立政権が衆参ともに少数与党となっていることから、新たな自民党総裁が総理大臣になるためには野党からの協力が鍵となり、そのためには7月の参院選で多くの野党が主張した消費税減税の取り扱いが焦点になると見られている。ただしこの消費税減税については、財源が曖昧なままの場合、財政赤字拡大への懸念から円売り要因との指摘も多い。
「トランプ政権は米国との不均衡な貿易関係を助長するマクロ経済政策は容認しない」という立場で考えると、財源が曖昧な消費税減税が大幅な円安をもたらす可能性がある場合、トランプ政権としてはそれに異を唱える可能性もあるのではないか。例えば、通貨の信用を維持するべく、財源の明確化を期待する見込みはあるだろう。
日本の次の政治リーダー「ポスト石破」を決めることは、すこぶる日本国内の問題だ。ただ日本にとって、極めて重要な対外関係先の米国において、現在のトランプ政権が異例なほどに為替相場にも執着しているとみられる中では、トランプ政権の政策が「ポスト石破」の経済政策にもかなり影響する可能性があるのではないか。
