東京市場まとめ

1.概況

前日の米国市場は主要3指数が揃って上昇となった流れを引き継ぎ、日経平均は486円高の41,657円で続伸して寄付きました。米国市場では日本との関税合意以外にもEUとの合意が近いといった報道を受け、世界景気の悪化懸念が後退したことが投資家心理を後押しし、日本市場も連日で幅広い銘柄で買いが優勢となりました。堅調な推移となった日経平均は812円高の41,983円で前引けとなりました。

後場は上昇して始まり、12時40分に894円高の42,065円をつけ本日の高値を更新しました。42,000円台をつけたあとは伸び悩み、ここ2日間で急騰していることもあり利益確定の売りが出たことで上げ幅を縮小するも、41,800円から41,950円のレンジで一進一退の推移となりました。最終的に日経平均は655円高の41,826円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が3日続伸、0.3%高で取引を終えました。

2.個別銘柄等

ソフトバンクグループ(9984)は一時3.6%%高の12,250円をつけ株式分割考慮後ベースでの上場来高値を更新しました。日米の関税合意では、政府系金融機関が最大5,500億ドルの投融資などで米国への投資を支援することが盛り込まれており、同社の孫正義会長兼社長が今年2025年1月、AI関連のインフラ整備に4年間で5,000億ドルを投資する「スターゲート計画」を表明していることから、日本政府の後押しにより巨額投資が促進されるとの見方も、同社への連想買いにつながりました。

ソニーグループ(6758)は2.6%高の3,787円をつけ続伸となりました。業績をけん引するゲームや映画などエンターテインメント事業を強化するため、通信用半導体事業の売却を検討していると伝わり、売却報道を好感する買いが優勢となりました。

システムインテグレータのオービック(4684)は2.7%高の5,535円をつけ4日ぶりに反発となりました。23日に発表した2026年3月期第1四半期決算は、純利益が前年同期比16.3%増の195億円と、同期間では5年連続で過去最高となり、これを好感した買いが入りました。

キヤノンマーケティングジャパン(8060)は一時9.8%高の5,776円をつけ株式分割考慮後ベースで上場来高値を更新しました。23日に発表した2025年12月期の中間決算は、営業利益が前年同期比5.0%増の273億円と同期間として過去最高となり、また通期の営業利益の予想を上方修正したことを評価した買いが入りました。

衛星開発のQPS研究所(5595)は4.9%高の2,300円をつけ続伸となりました。国内証券が、同社の投資判断を3段階で真ん中の「ニュートラル(中立)」から最上位の「バイ(買い)」に、目標株価は2,322円から2,580円に引き上げ、これを材料視した買いが入りました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日もリスクオン姿勢が顕著で、日経平均は655円高で続伸、TOPIXは史上最高値を更新となりました。明日の材料は大引け後に控えるニデック(6594)、信越化学工業(4063)、キヤノン(7751)、三菱自動車工業(7211)、中外製薬(4519)などの決算発表があげられます。また、明日は7月の東京都区部消費者物価指数の発表も予定されており、日銀の利上げ観測が再燃している点でもインフレ動向が注目されます。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)