参院選は、事前に予想されたように自公が過半数を取れず大敗。私は早い時期に期日前投票を済ませていましたが、思ったより自民党が議席を落とさなかった印象。もっと減らすのではと思っていましたが、大敗は大敗です。
予想外だったのは石破首相の続投表明ですが、自民党内の総意ではないようで、政局は流動的。勢力を伸ばした野党勢力が掲げる減税、積極財政が日本の金利を上昇させる(悪い金利上昇)として、債券安、株安、円安の日本売りへの警戒も一部にありましたが、7月21日(祝日)の為替市場ではドル円相場は円高が進行、円高進行にも関わらず、7月22日(火)の東京株式市場で、日経平均株価は40,200円台まで一気に駆け上がりました。日本売りの懸念は杞憂に終わりそうです。
そもそも、与党大敗は事前に予想されていましたが、海外投資家は日本株を15週連続で買い越しており、参院選への警戒は見られませんでした。一般的に長期安定政権が途絶えて政局が混迷する局面では株が売られるというのがセオリーとされますが、今、海外勢が日本株を物色する理由は、30年近く続いた日本のデフレ経済がいよいよインフレ経済へと転換したことにあり、インフレなら土地、資産価格は上がるだろうというシンプルなものです。
30年続いた日本パッシングが終焉し、海外勢がデフレによりあまりに割安に放置されてきた日本株に注目しはじめた、ということですね。その間栄えてきた中国経済が崩壊しデフレ化していることも背景です。
ただし、続投を表明した石破首相のもとでの日米通商交渉には不安がないわけではありません。トランプ大統領は8月1日から日本には全ての商品に25%の関税をかけることになるだろうと発言しており、これがTACOでなければ大変なことです。
超長期的に見ればいよいよインフレ経済に転換したばかりの日本株の魅力は大きいものの、短期的には関税賦課、それに対応できぬ日本の政治リスクが上値を抑える可能性もあり、8~9月のマーケットには注意が必要かもしれません。それでも次に下げたら買いたいと考えている投資家は多いと思われ、長期目線で見れば買いの好機となるのでは?と思っています。
- 大橋 ひろこ
- フリーアナウンサー
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フリーアナウンサー/ナレーター/個人投資家。福島県出身。アナウンサーとして経済番組を担当したことをきっかけに自身も投資を始め、現在では個別株、インデックス投資、投資信託、FX、商品先物と幅広く投資している。個人投資家目線のインタビューに定評があり、経済講演会ではモデレーターとして活躍する。自身のトレードの記録はブログで赤裸々に公表しておりSNSでの情報発信も人気。一時期は海外映画やドラマの吹き替えなど声優としても活動していたが、現在は経済番組に専念。現在ラジオNIKKEIなどで経済番組レギュラーを多数抱え、キャスターとしても多忙な日々を送っている。
