【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 42,206.82  △35.16 (6/20)
NASDAQ: 19,447.41  ▼98.86 (6/20)

1.概況

20日に英国、ドイツ、フランスの欧州3ヶ国とイランはスイスのジュネーブで外相会談を開き、外交的解決を目指して協議を続けることで合意したため、中東情勢を巡る警戒感が和らぎ、投資家心理を支える要因となりました。また、FRB(米連邦準備制度理事会)のウォラー理事が、労働市場が悪化するまで待つべきではないとして、利下げの時期は「早ければ7月」との考えを示したことも、相場を支える材料となりました。一方で、トランプ米政権が中国に対する半導体規制を強めるとの見方が広がり、半導体株などハイテク株の一角に売りが出たことで、相場の重荷となりました。

ダウ平均は119ドル高の42,291ドルで取引を開始し、その後は上げ幅を広げて260ドル高の42,432ドルまで上昇し、この日の高値を付けました。高値を付けた後は上げ幅を縮め、一時下げに転じる場面もあり、81ドル安の42,089ドルまで下落して安値を付けました。最終的には35ドル高の42,206ドルまで回復し、3日ぶりに小幅ながら反発しました。一方で、S&P500株価指数は13ポイント安の5,967ドルで取引を終え、3日続落となりました。

また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は98ポイント安の19,447ポイントで取引を終え、反落となりました。

2.経済指標等

6月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数はマイナス4.0と前月から横ばいとなり、市場予想を下回りました。景気先行指数は、前月比0.1%低下となり市場予想と一致しました。

3.業種別動向

S&P500の業種別株価指数では、全11業種のうち5業種が上昇となりました。特に、エネルギーは1%以上上昇しています。また、生活必需品、金融、公益事業、資本財・サービスは1%未満の上昇となりました。一方で、6業種が下落となり、特にコミュニケーション・サービスは2%近く下落しました。また、素材やヘルスケア、情報技術などが1%未満の下落となりました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は、全30銘柄のうち17銘柄が上昇となり、特にアップル[AAPL]は2%以上上昇しました。また、ウォルマート[WMT]とスリーエム[MMM]が1%以上上昇しました。その他、シェブロン[CVX]やゴールドマン・サックス[GS]、ホームデポ[HD]などが1%未満の上昇となりました。一方で、13銘柄が下落となり、なかでもユナイテッドヘルス・グループ[UNH]やアマゾン・ドットコム[AMZN]、エヌビディア[NVDA]が1%以上下落しました。

ダウ平均構成銘柄以外では、食品・日用品のクローガー[KR]が9.8%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。同社は第1四半期決算で減収、営業増益となった中、通期の売上高見通しを上方修正したことが好感されました。また、建築材料販売のジーエムエス[GMS]は、ホームデポ[HD]が同社の買収を申し出たと報じられたことを受け急騰し、23.8%高となりました。一方で、アクセンチュア[ACN]は、第3四半期決算で増収、増益と良好な決算を発表したものの、受注高の弱さなどが嫌気され、6.9%下落しS&P500株価指数構成銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなりました。また、アルファベット[GOOGL]は、アナリストによる投資判断の引き下げを受けて、3.9%下落しました。

5.為替・金利等

米長期金利は、前日から0.02%低い4.37%で取引を終えました。ドル円は、146円半ば付近で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

先週末の米国市場は小幅に高安まちまちとなりました。米東部時間の21日夜(日本時間22日午前)にトランプ米大統領がイランの核施設を攻撃したと発表しました。日本市場は、各国主要市場の中でこの材料を最初に解釈することになります。イラン側の対抗策としてホルムズ海峡の封鎖なども懸念され、日本市場は下落してのスタートが予想され、日経平均は心理的節目の3万8000円を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)