東京市場まとめ

1.概況

前日の米国市場にて主要3指数が揃って反落となった流れを引き継ぎ、日経平均は172円安の38,364円と反落で寄付きました。一方で、ドル円相場が円安・ドル高に推移したことを背景に、早々に上昇に転じると、その後は堅調な推移となりました。17日大引け後に行われた、金融政策決定会合後の日銀植田総裁の会見でも追加利上げを急がないとの見方が広まったことも買い安心感につながり、前場は255円高の38,791円で取引を終えました。

後場も高値圏での推移となりました。後場の取引は、開始直後に本日の高値を更新する勢いを見せました。しかし節目の39,000円を前に上値では利益確定の売りが入り、その後は38,700円台後半から38,800円台後半と小幅なレンジでの推移となりました。膠着間のあった日経平均は、最終的に348円高の38,885円をつけ高値引けで大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が0.1%高、小幅に反発で取引を終えました。

2.個別銘柄等

任天堂(7974)は一時7.1%高の13,320円をつけ年初来高値を更新しました。6月5日より発売した新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ・ツー」の売れ行きが好調で、発売後4日間の世界累計販売台数が350万台以上と初代スイッチのおよそ2倍の水準となっており、好調な販売動向による業績期待から買いが入りました。

良品計画(7453)は一時3.6%高の6,639円をつけ年初来高値を更新しました。5月の国内既存店売上高(オンラインストアを含む)が前年同月比12.2%増になったと発表し、ここまでの下期も堅調な業績を示したほか、外資系証券が同社の業績予想を引き上げたことも買い材料となりました。

日清オイリオグループ(2602)は8.5%高の5,090円をつけ大幅反発となりました。17日、発行済み株式総数(自己株式を除く)の7.67%にあたる250万株、金額にして100億円を上限とする自社株買いの実施を発表し、これによる株式需給の引き締まりへの期待から買いが集まりました。

エレベーターやエスカレーターといった昇降機専業メーカーであるフジテック(6406)は2.9%高の6,323円をつけ4日続伸となりました。国内証券が同社の投資判断を真ん中の「2(中立)」から「1(最上位)」に、また目標株価を従来の6,200円から足元の水準を上回る6,900円に引き上げたことが買い材料となりました。

太陽電池装置メーカーであるエヌ・ピー・シー(6255)は7.9%安の662円をつけ3日ぶりとなる大幅反落となりました。米連邦議会上院の財政委員会が公表したトランプ米政権による法案の修正案に、一般家庭向け太陽光発電の税制優遇措置を廃止する旨が記載されたことで、前日の米国市場では太陽光発電関連の銘柄が下落し、中でも同社の主要取引先である太陽光パネルのファースト・ソーラー[FSLR]が18%近く下げたことで同社の株安につながりました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は3日続伸となりました。上値では利益確定の売りが出るも、節目の39,000円に迫る水準まで上昇しました。明日の材料は、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果公表があげられます。政策金利は据え置かれるとの見方が優勢で、市場の目線は先行きの政策金利見通し(ドットチャート)に向けられている印象です。

足元では、インフレの鈍化を示す指標も現れる中で、当局メンバーが利下げタイミングをいつ頃で考えているか、結果公表とパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見に注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)