BTC(ビットコイン)は史上最高値を更新後、高値圏でもみあい

・前回出演時は、BTC(ビットコイン)が10万ドルを回復したタイミングだったが、そこからさらに11万ドルまで上昇し、史上最高値を更新する値動きになっている。ただ日本円では約1600万円で、今は円高に動いていることもあり、1月の史上最高値は円ベースでは更新していない。

・4月以降トランプ関税が意識される中、米ドル売りがマーケットでは強まり、ドルヘッジの手段の一つとして、BTCへの関心が高まっている。マーケットの不透明性が高まる中、BTCは、国や経済の影響を受けづらいアセットとして、金に並んで買われている。

・BTCの価値を担保するのは、最大発行量が2100万枚と供給量が決まっていることにある。もう一つが、ブロックチェーンというセキュリティによって、これまで不正取引が一度も起きていないということである。

・5月には、ムーディーズが米国債を格下げ、大型減税法案が議論される中、米国の財政悪化がマーケットの懸念として表れている。米国債券を売る動きが高まる中、BTCが金に並ぶ逃避資産の一つとして買われている。

法定通貨に価値が連動したデジタル通貨「ステーブルコイン」

・米国債売りが強まる中で、ステーブルコインへの関心が高まっている。ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨に価値が連動したデジタル通貨のことで、ブロックチェーンで管理される米ドルや日本円のようなものと捉えられる。発行体が裏付け資産として組み込まれている。ステーブルコインがマーケットで広がることで、米ドルや米国債の需要が、今後増えていくということが、当局者の発言として表に出てきている。

・BTCは2100万枚が上限だが、ステーブルコインは、金融市場に流通しているマネーサプライが上限となる。マーケットで流通している米ドルを発行体が裏付け資産として持つことによって、裏付け資産と同じ価値をブロックチェーン上で発行する。

・米国でステーブルコイン規制が進められる中、ベッセント米財務長官は「ステーブルコイン法制化は、世界の基軸通貨としての米ドルの地位を強固にし、2兆ドル規模の米国債需要を生み出す可能性がある」と公の場で発言。足元のステーブルコインの時価総額は2000億ドルで、今後10倍程度の規模感には成長すると、大手金融機関(スタンダードチャータード銀行)も予測している。

「GENIUS法」で規制を明確化、高まる米国債需要

・米国で議論されている「GENIUS法」というステーブルコイン関連の規制が明確になることで、ステーブルコインの発行体は米ドルや米国債を100%保全し、定期的に情報開示することが義務付けられる。そうなると、よりステーブルコインの発行も進み、それに伴い、米ドルや米国債需要も高まる。

・ステーブルコインの発行体としては、暗号資産関連のスタートアップが中心になっている。テザー社が発行する「USDT」とサークルインターネットグループ[CRCL]が発行する「USDC」がマーケットの8割を占めている。サークルは最近米国で上場、ステーブルコイン発行企業が金融市場の一部として受け入れられた動き。

・日本ではまだ、ステーブルコインの取り扱いが本格化していない。SBI VCトレードという暗号資産取引所がサークル社の「USDC」の取り扱いを2025年よりスタートした。暗号資産取引所の口座開設をすることで、ステーブルコインにアクセスすることはできるようになった。ただし海外と違い、ステーブルコインを使った運用サービスは日本国内では乏しく、目先のメリットは小さいと考えられる。

・BTCの価格と、「USDT」「USTC」の流通量を比較すると、ステーブルコインの流通量増加に伴い、BTC価格も上昇。ステーブルコインの発行量が増えることで、ブロックチェーン上のBTCやアルトコインの取引も活発になる。ステーブルコインは暗号資産市場におけるマネーサプライのようなものとしてとらえられる。今は米国を中心に、国債や不動産など、既存の金融商品をブロックチェーン上に移行する動きが強まっている。その際、決済通貨として使われるのがステーブルコインになる。