東京市場まとめ
1.概況
日経平均は239円高の37,686円で寄付きました。前日の米国市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2.7%高となり、日本市場でも半導体関連銘柄に買いが入りました。また、ドル円が144円近辺と前日夕方と比べて円安で推移したことも輸出関連株を後押ししました。寄付き直後の9時11分に421円高の37,868円をつけ本日の高値を更新しました。その後は節目の38,000円を前に伸び悩み、一進一退での推移となった後、387円高の37,834円で前引けとなりました。
後場の前半は上値が重く、前日時点の200日移動平均線(37,832円)近辺では売りが入る展開となりました。米中首脳会談や週末の米雇用統計の発表を前に、無理に上値を追う理由はないといった声も聞かれ、日経平均はもみあいでの推移となりました。引けにかけて荒い値動きとなったものの、最終的には300円高の37,747円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が4日続伸となる1.1%高で取引を終えています。
2.個別銘柄等
豊田自動織機(6201)は11.9%安の16,205円をつけ、5日ぶりに反落となりました。トヨタ自動車(7203)を中心とする陣営により1株16,300円でのTOB(株式公開買い付け)を受け入れると発表するも、前日終値(18,400円)を約11%下回るとされたことで、一定のプレミアムを乗せたTOBへの期待が高まっていたことから失望売りが出ました。
工作機械メーカーの牧野フライス製作所(6135)は3.8%高の11,640円をつけ反発となりました。アジア系投資ファンドのMBKパートナーズが3日、1株あたり11,751円で同社をTOBによって買収するとし、また同社もこのTOBに賛同すると発表したことが好感され、買いが優勢となりました。
日本航空(9201)は2.1%高の2,998円をつけ年初来高値で取引を終えました。国内証券が同社の目標株価を従来の3,050円から3,400円に引き上げ、これを材料視した買いが入りました。アナリストは、「2026年3月期業績計画に対し、国際線、国内線ともに旅客数は強含みで推移している」と評価しています。
ラーメンチェーンを運営する魁力屋(5891)は一時7.9%高の1,947円をつけ年初来高値を更新しました。同業のグランキュイジーヌ(東京・中央)を9億7,100万円で買収したと発表し、同業の買収によって事業と業績の拡大を期待した買いが入りました。
eスポーツ関連の企画や政策を手掛けるGLOE(9565)はストップ高水準となる15.2%高の1,139円をつけ大幅続伸となりました。共同通信は3日、日本スポーツ協会が国民スポーツ大会(国スポ)でeスポーツを採用する検討に入ったと報じ、現状ではeスポーツ事業を手掛ける企業が少ないといった背景から、同社に思惑的な買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は4日ぶりの反発となりました。節目の38,000円を前に、戻り待ちの売りが出やすく、上値を追う材料にも欠けることから一進一退での推移が続きました。
明日の相場の材料は、本日夜間発表の米国の経済指標があげられます。5月のADP雇用者数、ISM非製造業景気指数の発表を控えるほか、各地域の経済活動をまとめた米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表され、トランプ米大統領が進める政策を織り込んだ5月の経済データに注目が集まります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)