【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 42,305.48 △35.41 (6/2)
NASDAQ: 19,242.61 △128.85 (6/2)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数がそろって小幅に上昇しました。寄付き後は、トランプ大統領による鉄鋼・アルミニウムの関税引き上げを受けて貿易摩擦の拡大が懸念されたほか、5月のISM製造業景気指数が3ヶ月連続で好不況の境目となる50を下回ったことから、売りが優勢となる展開となりました。しかし、ハイテク株の一角に買いが入ったうえ、トランプ大統領と中国の習近平国家主席が週内にも電話会談を行う可能性があると伝わると、貿易交渉の進展期待が相場の支えとなり、指数はプラス圏に浮上しました。
ダウ平均は70ドル安の42,199ドルで取引を開始し、一時は416ドル安の41,853ドルまで下落する場面も見られました。安値を付けた後は反転し、後半にかけて買いが優勢となると、一時46ドル高の42,317ドルまで上昇してこの日の高値を付けました。最終的には35ドル高の42,305ドルと高値圏で取引を終え、小幅ながら3日続伸となりました。
一方、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は128ポイント高の19,242ポイント、S&P500株価指数は24ポイント高の5,935ポイントで取引を終え、いずれも反発しました。
2.経済指標等
5月のISM製造業景気指数は48.5となり、市場予想(49.2)と前回結果(48.7)を下回り、好不況の境目とされる50を3ヶ月連続で下回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数は、全11業種のうち10業種が上昇となり、特にエネルギーが1%以上上昇しました。そのほか、情報技術やコミュニケーション・サービス、素材などが1%未満の上昇となりました。一方で、資本財・サービスの1業種が小幅に下落となりました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は、全30銘柄中19銘柄が上昇となりました。なかでも、ナイキ[NKE]とボーイング[BA]が2%超上昇したほか、アイビーエム[IBM]やエヌビディア[NVDA]、シスコシステムズ[CSCO]、ウォルマート[WMT]が1%以上上昇しました。一方で、11銘柄が下落となり、なかでもセールスフォース[CRM]やスリーエム[MMM]、プロクター・アンド・ギャンブル[PG]が1%以上下落しました。
ダウ平均構成銘柄以外では、トランプ大統領が鉄鋼の関税を25%から50%に引き上げることを発表したことが好感され、鉄鋼株が上昇となりました。なかでも、スチール・ダイナミクス[STLD]は10.27%上昇してS&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなったほか、ニューコア[NUE]は10.1%高、クリーブランド・クリフ[CLF]は23.2%高となりました。また、ハイテク株の一角にも買いが入り、マイクロン・テクノロジー[MU]は4.0%高、メタ・プラットフォームズ[META]は3.6%高、アドバンスド・マイクロ・デバイシズ[AMD]は3.5%高、ブロードコム[AVGO]は2.7%高となりました。
一方で、鋼材価格の上昇がコスト増に繋がるとの懸念から自動車株は下落となり、ゼネラルモーターズ[GM]とフォード・モーター[F]は3.9%下落、ステランティス[STLA]は3.6%下落しました。また、テスラ[TSLA]は5月のフランスでの自動車販売台数が前年同期比67%減の721台となり、株価は1.1%下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前週末から0.04%高い4.44 %で取引を終えました。ドル円は、142円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場で主要3指数がそろって小幅に上昇した流れを引き継ぎ、本日の日本市場は上昇してのスタートが見込まれ、日経平均は3万8000円台の回復に向けて、上げ幅をどれだけ広げられるかが注目されます。
一方で、トランプ米政権による関税政策の不透明感が依然としてくすぶるなか、外国為替市場では円高基調が続いており、輸出関連株にとっては逆風となるため、上値の重い展開が想定されます。引き続き、通商政策を巡るニュースを受けた為替や長期金利の動向をにらみながらの相場展開となりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)