今週(5月23日~5月29日)の相場動向

相場回顧 BTC(ビットコイン):トランプ関税を巡る不透明感で上値は重い

ビットコインは、トランプ関税を巡る不透明感が意識され、上値の重い展開となった。

トランプ米大統領がEUや海外製スマートフォンに対する関税発動を示唆したことで、リスクオフの流れが強まり、一時BTC=107,000ドル(約1,551万円)付近まで大きく下落した。史上最高値更新後の利益確定売りも下押し圧力となった。

しかし、トランプ米大統領が対EU関税の発動延期を表明すると、株式を含むリスク資産に買いが戻り、ビットコインもマイクロストラテジー[MSTR]など企業による追加購入が相次いだことで、BTC=110,000ドル(約1,595万円)付近まで回復した。

その後、FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨で利下げ観測が後退したほか、ヴァンス副大統領の講演が無難な内容になったことで、ビットコインは上値の重い展開となった。

さらに、米国際貿易裁判所が関税の一部を差し止め、政権が控訴の構えを見せたことで、司法と行政の対立構図が表面化。イーロン・マスク氏が減税法案に反対意見を示したこともトランプ政策への不安を強める要因となり、市場では様子見ムードが広がった。

 

来週(5月30日~6月5日)の相場予想

BTC(ビットコイン)は高値圏で膠着、トランプ政策と米雇用統計等を見極める展開へ

来週のビットコインは高値圏でのもみ合いを予想する。米国際貿易裁判所がトランプ関税の一部を差し止めたことで政策の先行きは不透明となる一方、各国との貿易摩擦懸念が後退し、リスク資産の買いが強まる可能性はある。控訴の行方次第では、相場の方向感が左右される局面も想定される。

また、テキサス州で最終調整中のビットコイン準備金法案が、知事の署名によって成立すれば、公的機関によるビットコイン購入への期待が高まり、上昇につながる展開も期待される。

ただし、来週の米経済指標を受けて、6月FOMCでの利下げ期待が一段と後退した場合、ビットコインに売りが波及することも考えられる。減税法案をめぐる財政赤字拡大への懸念も意識される中、再び史上最高値を更新するには追加の好材料が求められるだろう。

直近の価格レンジとして、上値はBTC=112,000ドル(約1,624万円)、下値はBTC=100,000ドル(約1,450万円)を意識する。