【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 42,098.70 ▼244.95 (5/28)
NASDAQ: 19,100.94 ▼98.23 (5/28)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数が揃って反落となりました。エヌビディア[NVDA]の決算発表を通常取引終了後に控える中、主力株を中心に持ち高調整の売りが出たほか、長期金利の上昇が株式相場の重荷となりました。また、FRB(米連邦準備制度理事会)が28日に公表したFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨(6~7日開催分)によると、金融政策の判断にあたっては、トランプ米大統領による関税政策の影響が明らかになるまでは「注意深く取り組むのが適切だ」とされ、利下げに慎重な姿勢が改めて示されたことも売り材料となりました。
ダウ平均は17ドル高の42,361ドルで取引を開始し、一時は105ドル高の42,448ドルまで上昇する場面も見られましたが、高値を付けた後は売りに転じ、その後は終始軟調に推移しました。取引終盤には一時301ドル安まで下落し、42,042ドルでこの日の安値を付けました。最終的には244ドル安の42,098ドルで取引を終え、反落となりました。
また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は98ポイント安の19,100ポイント、S&P500株価指数は32ポイント安の5,888ポイントで取引を終え、いずれも反落しています。
2.経済指標等
5月のリッチモンド連銀製造業指数は、前月から4ポイント上昇してマイナス9となり、市場予想(マイナス11)を上回りました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数では、11業種すべてが下落となりました。なかでも、公益事業や素材、エネルギーが1%以上下落しています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中4銘柄が上昇となり、特にユナイテッドヘルス・グループ[UNH]が1%以上上昇しました。そのほか、ボーイング[BA]やビザ[V]、アップル[AAPL]が小幅に上昇しています。一方で、26銘柄が下落となりました。なかでも、メルク[MRK]やナイキ[NKE]、シェブロン[CVX]、シャーウィンウィリアムズ[SHW]、ゴールドマン・サックス[GS]、アイビーエム[IBM]が1%以上下落しています。
エヌビディアは通常取引終了後に第1四半期決算を発表し、売上高は前年同期比69.2%増の440億ドル、営業利益は同28.0%増の216億ドルとなりました。また、EPS(1株当たり純利益)が0.76ドルと市場予想を上回ったことを受けて、時間外取引では同日終値に対して一時4%高の140ドル台をつけました。
ダウ平均構成銘柄以外では、信用スコア提供会社のフェア・アイザック[FICO]が7.7%上昇し、S&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。同社の価格設定をめぐって、連邦住宅金融局(FHFA)のビル・パルテ局長が懸念を示し、より費用対効果の高い信用評価オプションを支持する姿勢を示して以降、同社の株価は下落が続いていましたが、アナリストによる投資判断の引き上げが好感され、6日ぶりに大幅反発となりました。
一方、EDAベンダーのケイデンス・デザイン・システムズ[CDNS]は10.7%下落し、S&P500構成銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなりました。トランプ政権が、半導体設計ソフトを提供する米企業に対し、中国企業へのサービス提供を停止するよう命じたと報じられたことが、悪材料と受け止められています。これを受けて、同業のシノプシス[SNPS]も9.6%下落しました。また、米国政府などに経営コンサルティングサービスを提供するブーズ・アレン・ハミルトン[BAH]は、アナリストによる投資判断と目標株価の引き下げを受けて、4.7%下落しました。
5.為替・金利等
米長期金利は、前日から0.04%高い4.48%で取引を終えました。ドル円は、144円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場では、主要3指数が揃って反落しましたが、通常取引終了後に発表されたエヌビディア[NVDA]の決算内容が市場予想を上回り、時間外取引で上昇している流れを引き継ぎ、本日の日本市場も半導体株を中心に上昇してのスタートが予想されます。日経平均は、3万8000円台の回復に向けて上げ幅を広げられるかどうかが注目されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)