東京市場まとめ
1.概況
前日の米国市場にて主要3指数が揃って続伸となった流れを引継ぎ、日経平均は224円高の37,723円で寄付きました。米国市場は格付け会社ムーディーズ・レーティングスによる米国債の格付け引き下げにより、序盤は売りが優勢となるも次第に持ち直す展開となりました。日本市場も米国債格下げの影響が限定だったことから幅広い銘柄に買いが入り、9時39分に423円高の37,921円をつけ本日の高値を更新しました。買い一巡後は利益確定の売りや先行きの円高懸念により上値は重く、上げ幅を縮小する展開となり、午前の終値は192円高の37,691円となりました。
後場は一段と上げ幅を縮小してのスタートとなりました。G7財務相・中央銀行総裁会議を前に、持ち高の調整が見られ伸び悩みました。引け間際に下落に転じる場面が見られるも最終的には30円高の37,529円と小幅高ながら5日ぶりの反発となりました。
新興市場では東証グロース250指数が0.9%高、8日続伸となりました。
2.個別銘柄等
豊田自動織機(6201)は一時9.0%高となる18,000円をつけ年初来高値を更新しました。日本経済新聞は、「豊田織の株式非公開化を巡り、トヨタ(7203)やグループ企業が買収資金として金融機関から最大3兆円規模の借り入れを検討していることがわかった」と報じ、買収総額は6兆円規模と見られ、前日19日時点の時価総額を大きく上回る水準とあって買収が実現した際の価格を意識した買いが入りました。
安川電機(6506)は5.0%高の3,422円をつけ、3日ぶりに反発となりました。国内証券が同社の投資判断を中立からアウトパフォームに引き上げ、また目標株価も従来の3,400円から4,000円に上方修正したことが買い材料となりました。アナリストからは、需要環境の変化を考慮すれば株価は下げ過ぎといった評価がされています。
サンリオ(8136)は9.4%高の6,654円をつけ、大幅反発となりました。先週13日に新たな中期経営計画を発表して以降、株価の上昇トレンドが続いており19日終値ベースの75日移動平均線(6,126円)を大きく上回る水準で推移していることから、上昇に弾みがついています。
温度センサー等を手掛ける助川電気工業(7711)は2.9%高の1,966円をつけ3日ぶりに反発となりました。日本経済新聞は、「政府は次世代のクリーンエネルギーとして各国が開発を競っている核融合発電について2030年代に実証する方針だ」と報じ、原子力産業の温度制御関係向けに製品を供給する同社に思惑買いが集まりました。
学習サービスを提供するSchoo(264A)は12.3%安となる873円をつけ、3日続落となりました。15日に2025年9月期(今期)の中間決算を発表し、通期の当期純利益は従来の5.03億円から3.61億円下方修正となる1.42億円(前期比22.8%減)を見込むとしました。業績悪化を受けてここ2営業日は連続でストップ安水準での下落となっていたところ、本日も下げの勢いは止まらず大幅安となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
米国株高を受けて、日本市場も上昇して始まるもG7財務相・中央銀行総裁会議を前に様子見ムードとなりました。ドル円相場も先だって円高に推移しており、市場は円安是正が指摘される可能性を織り込んでいるように考えられます。
為替の動向にも注目ですが、明日の材料には本日引け後の大手損保3社の決算発表があげられます。政策保有株の売却が進んでおり、好業績が期待できるなかで今期の業績見通しにも注目が集まります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)