東京市場まとめ
1.概況
日経平均は181円安の37,572円をつけ続落で寄付きました。米大手格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の信用格付けを引き下げ、それを受けた為替相場は円高ドル安が進行したことも市場の重荷となりました。一方で、先高観を背景とした押し目買い意欲も強く、底堅く推移した日経平均は136円安の37,617円で前引けとなりました。
後場は今晩の米国市場における下落への警戒感から売りが優勢でのスタートとなりました。13時18分には307円安の37,445円をつけ本日の安値を更新しました。その後も米株価指数先物やアジア株が軟調に推移したことで、日経平均は総じて安値圏での推移となり、最終的には255円安の37,498円と4日続落で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が0.4%高、7日続伸で取引を終えました。
2.個別銘柄等
第一三共(4568)は7.1%高の3,698円をつけ連騰となりました。日本経済新聞は、同社が主力抗がん剤『エンハーツ』において点滴を不要となるよう改良をすると報じました。1回90分程度かかる投与を数分で済むようにし、患者の負担を減らすとし、抗がん剤の売上が伸びるとの期待感から買いが集まりました。
化学メーカーのUBE(4208)は1.8%高の2,192.5円をつけ、続伸となりました。三菱マテリアル(5711)と共同出資するUBE三菱セメントが東京証券取引所への株式上場の準備を開始すると発表し、株式売り出しに伴う売却益を見込んだ思惑買いが株価を押し上げました。
検査関連サービスや臨床検査薬を製造販売するH.U.グループホールディングス(4544)は一時8.6%高の3,195円をつけ年初来高値を更新しました。傘下の富士レビオは、米食品医薬品局(FDA)がアルツハイマー型認知症の血液検査薬を承認したと発表し、将来の業績貢献を期待した買いが入りました。
東映アニメーション(4816)は2.4%高の3,375円をつけ続伸となりました。2026年3月期(今期)の当期純利益は前期比19.1%減の191億円と減収減益を見込むとし、朝方は減益を嫌気した売りが先行するも、目先の悪材料出尽くしとの見方から次第に買いが優勢となりました。
QPS研究所(5595)は一時10.5%高の1,814円をつけ年初来高値を更新しました。19日、寄付き前に小型衛星「QPS-SAR10号機」の打ち上げが完了したと発表しました。打ち上げた衛星による観測データの販売等、今後の業績寄与への期待から買いが入るも、次第に売りが優勢となり終値では1.3%安の1,621円と3日続落で取引を終えました。
VIEW POINT: 明日への視点
ムーディーズによる米国債の格下げが市場センチメントの重荷となりました。またドル円相場では米国の財政リスクが懸念され、一時144円台後半まで円が買われました。今週は、G7財務省・中央銀行総裁会議を控えており、市場では米国が円安是正を要求してくるとの見方も円買いの材料となりました。
明日の材料としては、国債の格下げを受けた今晩の米国市場の反応に注目で、株式市場が格下げや財政懸念をどの程度、織り込むかが鍵となるでしょう。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)