東京市場まとめ
1.概況
米中両政府が相互に課した追加関税を引き下げるとの発表を受けて、日経平均は505円高の38,149円で寄付きました。前日の米国市場でも主要3指数が揃って大幅上昇となり、日本市場でも買いが優勢でのスタートとなりました。9時6分には849円高の38,494円をつけ本日の高値を更新するも、次第に上げ幅を縮め、652円高の38,296円で前引けとなりました。
後場は方向感に欠ける展開となりました。直近での上昇基調を受けた利益確定の売りや、本日夜間に発表される米CPI(消費者物価指数)の公表を前に上値は重く、引けにかけて上げ幅を縮小した日経平均は539円高の38,183円と4日続伸、節目の38,000円を超える水準で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が一時697ポイントまで上昇し、1.1%高と年初来高値を更新して続伸で取引を終えました。
2.個別銘柄等
シャープ(6753)は13.3%安の812.6円をつけ6日ぶりとなる大幅反落となりました。2026年3月期(今期)の売上高は前期比14.4%減の1兆8,500億円、営業利益は同26.8%減の200億円を見込むとし、大幅な減収減益の見通しを示したことが嫌気され売りが優勢となりました。
京王電鉄(9008)は9.3%安の3,581円をつけ続落となりました。2026年3月期(今期)の当期純利益は前期比4.3%減となる410億円を見込むとし、減益予想による失望売りが入りました。同社は鉄道の修繕費やホテル事業における人件費、客室改装費等のコストがかさむとしています。
中外製薬(4519)は2.8%高の7,510円をつけ5日ぶりに反発となりました。12日、米中両政府が相互関税の一時停止で合意したことで、トランプ米政権による医薬品への追加関税の発動も見送られるのではないかといった思惑から、医薬品セクターに買いが入りました。
フジクラ(5803)は5.2%安の5,743円をつけ5日ぶりに反落となりました。2026年3月期(今期)の当期純利益は前期比1.2%減の900億円を見込むとし、1,000億円超を見込んでいた市場予想を下回る内容が失望され、後場に急反落となりました。
勤怠管理システムを手掛ける勤次郎(4013)が一時ストップ高水準となる15.0%高の767円をつけ年初来高値を更新しました。クラウド事業が好調であることから2025年12月期(今期)の当期純利益を従来の6億2,100万円から7億1,500万円へと上方修正したことが、買い材料となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
米中が相互に課していた追加関税の引き下げによって、主力株を中心に買いが優勢となりました。TOPIXは4月22日以来、13連騰と好調さを維持していいます。明日も決算銘柄に売買が集まると予想されるほか、今晩発表される4月の米CPI(消費者物価指数)に注目が集まります。
本日の大引け後の注目決算銘柄は、ソフトバンクグループ(9984)、サンリオ(8136)、ニトリHD(9843)、りそなHD(8308)等があげられます。また、米CPIは品目によっては関税の影響が現われるとされ、インフレの加速が確認されるかが焦点となりそうです。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)