東京市場まとめ

1.概況

前日の米国市場にて主要3指数が揃って上昇した流れを引き継ぎ、日経平均は83円高の36,863円と反発して寄付きました。FOMC(米連邦公開市場委員会)を無難に通過したことで買いが優勢で始まるも、節目の37,000円に近付く場面では利益確定の売りが入り、一転して下落に転じる場面も見られました。下げ幅は一時170円を超えるも、次第に持ち直し、83円高の36,863円で前引けとなりました。

後場は米株価指数先物が上昇し、またアジア各国の株式も堅調に推移したことで、36,800円台後半から36,900円台半ばと高値圏での推移となりました。一方で、節目の37,000円を前に上値は重く、一進一退での展開となる中で、最終的には148円高の36,928円で大引けとなりました。

新興市場では東証グロース250指数が0.5%安で反落となりました。

2.個別銘柄等

IHI(7013)は一時10.2%高の12,480円をつけ、株式併合考慮ベースで35年ぶりの高値をつけました。2026年3月期(今期)の当期純利益は6.4%増の1,200億円を見込むとし、市場予想を上回るガイダンスが好感され買いが集まりました。

バンダイナムコホールディングス(7832)は8.2%安の4,617円をつけ続落となりました。2026年3月期(今期)の当期純利益は22.7%減の1,000億円を見込むとし、市場予想を下回るガイダンスとなったことが嫌気され、売りが優勢となりました。

日本郵船(9101)は4.6%高の4,892円をつけ3日続伸となりました。8日昼ごろ、発行済み株式総数(自己株式除く)の11.1%に当たる4,800万株、金額にして1,500億円を上限とする自社株買いの実施を発表し、株式需給の引き締まりや株主還元姿勢を評価した買いが入りました。

NTTデータグループ(9613)はストップ高水準となる16.7%高の3,492円をつけ年初来高値を更新して取引を終えました。日本経済新聞は、「NTT(9432)が上場子会社で海外事業を統括するNTTデータグループを完全子会社化する」と報じ、買収に伴うプレミアムを期待した投資家の買いが殺到しました。

企業向けクラウド等のセキュリティサービス会社であるHENNGE(4475)は一時7.8%高の1,855円をつけ年初来高値を更新するも、後場に一段安となり10.1%安の1,548円と終値では大幅続落となりました。2025年9月期(今期)の当期純利益は12~13億円(前期比51.2~68.2%増)を見込むとし、増益予想を好感した買いが入るも、高値更新後は利益確定の売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は半導体を中心に上昇したことで、148円高と反発で取引を終えました。明日の材料は、引き続き主要銘柄の決算発表があげられます。本日の大引け後には、新機種のスイッチ2の販売、出荷台数見通しの続報が待たれる任天堂(7974)や親会社による買収が報じられたNTTデータ(9613)、他にもソフトバンク(9434)やコナミグループ(9766)の決算発表が控えており、また明日9日の取引時間中には川崎重工業(7012)、旭化成(3407)、三菱重工業(7011)が予定されています。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)