一般医薬品から化粧品、食品、日用品まで幅広く扱う
米トランプ政権の関税政策による、日本国内経済への影響が懸念されている。日本は企業業績の拡大、それに伴う賃金の上昇などでデフレ脱却への期待感が高まってきていた。一方、降ってわいた相互関税の実施が企業業績に影響を与え、好循環が止まる可能性が浮上している。物価高は継続しており、消費者が節約志向に戻ることも想定される。
こうした中で、医薬品のみならず、食品も含めた価格の安い商品を扱うドラッグストアへの関心が高まっている。日本チェーンドラッグストア協会によると、ドラッグストアとは「健康と美容に関する提案と訴求を主とし、医薬品と化粧品を中心に、日用家庭用品、文房具、フィルム等の日用雑貨、食品を取り扱う店」としている。ドラッグストアが日本にできたのは1980年前後で、従来あった薬局・薬店、いわゆる「くすり屋さん」とは異なる業態ともしている。
ドラッグストアに価格競争力がある理由
ドラッグストアは一般的に利益率が高い一般用医薬品(大衆薬)で稼いだ利益を原資として、日用品や化粧品、食品などをより低価格で販売できる。調剤薬局併設店では、薬価(公定価格)が決まっており、値崩れしない処方薬でも稼ぐことができる。食品スーパーやGMS(総合スーパー)に比べて価格競争力があるのは、こうした理由による。調剤薬局を併設しているケースでは、ついで買いのニーズも取り込むことができる。
日本チェーンドラッグストア協会によれば、2023年度のドラッグストア業界の市場規模は9兆2022憶円で前年度比5.6%増となっており、9兆円乗せは初めて。少子高齢化やセルフメディケーション、消費行動の変化などを背景に、2030年には13兆円になるとの試算もある。
ドラッグストア関連銘柄をピックアップ
マツキヨココカラ&カンパニー(3088)
マツモトキヨシホールディングスとココカラファインが2021年10月に経営統合して発足。マツモトキヨシホールディングスは「マツキヨ」の愛称で知られ、1987年7月に上野アメ横で日本初の都市型ドラッグストアをオープンした草分け。1994年に幅広い商品を扱う郊外型ドラッグストアに進出している。ココカラファインは2008年にセイジョー、セガミなど4社が統合して発足し、その後もM&Aで拡大。PBや化粧品、医薬品に強みがある。売上高よりも収益性を重視。

コスモス薬品(3349)
九州が地盤のドラッグストアチェーン。小さな商圏にあえて大型店舗を出店するという「小商圏型メガドラッグストア」というフォーマットに特色がある。ライバル店を圧倒する戦略で成長し、九州では最大手級。特に食品や雑貨を大量に陳列する超大型店に強みがある。セールではなくエブリデイロープライス(毎日安い)戦略を打ち出し、他社では一般的なポイントカードもない。調剤薬局併設店も多い。

サンドラッグ(9989)
東京西部が地盤のドラッグストア大手。首都圏を軸に中部や関西、九州にも積極出店。M&Aに積極的で、同業のほかディスカウント店のダイレックスを子会社化。2024年2月には関西が地盤で同業のキリン堂ホールディングス(2021年にMBOで上場廃止)の株式33.4%を取得し持ち分法適用会社に。商圏拡大や、PB商品の開発力を高める。

クスリのアオキホールディングス(3549)
ドラッグストアの中堅。石川県など北陸3県で高いシェアを誇る。東海、近畿、関東にも順次勢力を拡大。ストアコンセプトは「専門性と利便性」。調剤薬局の併設にも強み。第2位株主はイオン。精肉、鮮魚、総菜など食品分野を強化。食品スーパーの買収にも積極的。

スギホールディングス(7649)
調剤薬局併設のドラッグストア「スギ薬局」を展開。処方箋の受付は夜間や休日を含め年中無休。創業時から蓄積してきた調剤のノウハウに強みがある。東海地区を地盤に全国に店舗網。在宅医療への取組みで先行。

クリエイトSDホールディングス(3148)
神奈川県が地盤のドラッグストアチェーン。系列化が進む業界内で、独立路線を継続。2020年に神奈川県内の食品スーパーを買収し、品揃えを増やした大型出店を強化している。

カワチ薬品(2664)
栃木・北関東が地盤のドラッグストアチェーン。業界では準大手の一角。600~1,000坪の大型店を幹線道路沿いに出店。小型の家電も扱い集客力を高めている。調剤薬局併設店も強化している。
