東京市場まとめ

1.概況

トランプ米政権による関税政策における過度な懸念が和らいだことで、米国市場の主要3指数が揃って続伸となった流れを引継ぎ、日経平均は366円高の34,349円と続伸で寄付きました。トランプ米大統領は自動車向けの関税についても、救済措置を検討していると伝わったことで自動車株が買われ、9時31分には476円高の34,459円をつけ本日の高値を更新しました。その後は伸び悩み、302円高の34,285円で前引けとなりました。

後場も序盤は34,300円台と堅調な推移となりました。後半にかけて、ドル円相場が1ドル142円台後半まで円高ドル安が進行し、また米株価指数先物が軟調に推移していることも重荷となり、日経平均は伸び悩む展開となりました。次第に上げ幅を縮小し、最終的には285円高の34,267円で取引を終えました。

新興市場では、東証グロース250指数が1.1%高で4日続伸となりました。

2.個別銘柄等

トヨタ自動車(7203)は3.7%高の2,499円をつけ、3日ぶりに反発となりました。トランプ米大統領が、高関税政策に関して「自動車メーカーの一部を支援する何らかの方法を検討している」とし、米国に工場のある日本の自動車メーカーにも何らかの支援があるとの見方から思惑買いが入りました。本田技研工業(7267)は3.6%高、マツダ(7261)は3.0%高、部品メーカーのデンソー(6902)は5.6%高で取引を終えています。

東宝(9602)は4.3%安の7,636円をつけ、続落となりました。2026年2月期(今期)の営業利益は、前期比11.9%減となる570億円を見込むとし、市場予想を大幅に下回るガイダンスが嫌気され、売りが優勢となりました。

三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)は2.2%高の1,684円をつけ、続伸となりました。取引時間中の国内長期金利が一時1.360%まで上昇し、金利上昇を受けた利ザヤの拡大を見込んだ買いが集まりました。また、前日の14日に米ゴールドマン・サックス[GS]が2025年1~3月期決算において当期純利益は前年同期比15%増の47.38億ドルと良好な決算内容を発表し、日本の銀行株にも追い風となりました。

ドトール・日レスホールディングス(3087)は一時17.8%高の2,807円をつけ年初来高値を更新しました。14日、発行済み株式総数(自己株式を除く)の7.98%にあたる350万株、金額にして50億円を上限とする自社株買いの実施を発表し、また株主価値の最大化に向けて1倍程度であったPBRを1.5倍に向上させる方針を公表し、これを好感する買いが集まりました。

クラウド導入・運用支援のテラスカイ(3915)は20.5%高の2,409円をつけ、4日続伸となりました。2026年2月期(今期)の営業利益は前期比26.3%増の18億円と過去最高となる見込みで、顧客企業のデジタル化需要が引き続き高く、業績成長を好感した買いが集まりました。

VIEW POINT: 明日への視点

自動車や銀行株が堅調に推移し、日本市場は続伸となりました。過度な警戒感は和らいでいるものの、次なる材料としては16日から訪米する赤沢経済再生担当相とベッセント米財務長官の関税交渉が注目されるでしょう。円安是正や日本の貿易黒字についての議論がされると考えられ、輸出関連株は引き続きボラタイルな動きとなりそうです。

明日の材料には、本日引け後に米国でバンク・オブ・アメリカ[BAC]、シティグループ[C]、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ]の決算発表があり、注目が集まります。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)