東京市場まとめ
1.概況
前日の米国市場にて主要3指数が揃って下落した流れを引き継ぎ、日経平均は483円安の32,529円で寄付きました。中国による報復関税をめぐり、米国は中国にあわせて104%の関税を課すと発表しました。前日の米国市場では米中貿易摩擦の激化が懸念され、売りが優勢となりました。日本市場では、ドル円相場の円高ドル安進行も投資家心理の重石となり、前場の下げ幅は一時1,300円超となるも、その後は865円安の32,147円と持ち直して前引けとなりました。
後場には米国で相互関税が発動され、下げ幅を更に拡大する展開となりました。13時27分に1,754円安の31,258円をつけ本日の安値を更新しました。その後は持ち直し、下げ幅を縮小すると、最終的には1,298円安の31,714円で大引けとなりました。
新興市場では東証グロース250指数が2.7%安と反落で取引を終えています。
2.個別銘柄等
ディスコ(6146)は8.2%安の24,420円をつけ、大幅反落となりました。日本経済新聞が同社の「2025年3月期の連結営業利益は前の期比で3割超増の1650億円程度と、5年連続で過去最高を更新したようだ」と報じるも、前日の米国半導体株安の影響を受けた売りが勝り、大幅下落となりました。
フジ・メディア・ホールディングス(4676)は3.8%高の2,995.5円をつけ、続伸となりました。8日、アクティビストとして知られる村上世彰氏の長女、野村絢氏の保有増加が判明し、同社に対する経営改善要求が強まるとの見方が買いを誘いました。
安川電機(6506)は8.9%安の2,666.5円をつけ、大幅反落となりました。米政権が中国製品に累計で104%となる関税を課すことを決定し、米中対立は一層の厳しさを増すことから、中国関連企業である同社の業績悪化懸念による売りが優勢となりました。同様に、ファナック(6954)5.6%安、資生堂(4911)は1.3%安で取引を終えました。
宇宙空間の軌道上サービス会社であるアストロスケールホールディングス(186A)は4.3%高の624円をつけ、続伸となりました。米子会社のAstroscale U.S. Inc.が米国宇宙軍と人工衛星に関連したプロジェクトの受注金額が従来の42億円から約60億円に増額されたと発表し、これを材料視した買いが入りました。
西日本旅客鉄道(9021)は1.8%高の2,905円をつけ、続伸となりました。グローバルな景気後退入りが懸念され、株式市場ではリスクオフムードが漂う中で、ディフェンシブ銘柄である鉄道株に買いが入りました。大阪・関西万博の開催も控えることも追い風との見方がされています。
VIEW POINT: 明日への視点
米政権による関税発動によって、本日の日本市場も大きく下落となりました。今後は各国との交渉によって適用された関税率の緩和が期待されるものの、数ヶ月単位での交渉になると考えられます。底入れまでにある程度期間を要するものとして、身構えておくことが重要かもしれません。
明日の材料は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)の決算発表が控えており、買収に関する続報に注目が集まります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)