2025年3月28日(金)8:30発表
日本 東京都区部消費者物価指数2025年3月分速報

【1】結果:東京コアCPIは前年同月比2.4%と市場予想を上回る伸びに

【図表1】東京CPI 2025年3月速報値結果
出所:総務省よりマネックス証券作成

2025年2月の東京都区部消費者物価指数(以下、東京CPI)は、ヘッドラインの総合指数が前年同月比2.9%上昇しました。市場予想では、前回2月(改定値)から前年同月比2.7%増と伸びの鈍化が予測される中で、わずかに伸びが加速する結果となりました。生鮮食品の伸びが鈍化する一方で、家具家事用品等の伸びが確認されました。

【図表2】東京CPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

コア指標である生鮮食品を除く総合指数は前年同月比2.4%上昇、変動性の高い生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は同2.2%上昇と3指数そろって伸びが加速しました。生鮮食品に含まれない米は引き続き上昇が目立つ一方で、3月のデータでは家庭用耐久財や家事サービスといった品目の上昇がコアコア指標を押し上げました。

【2】内容・注目点:米価格は依然高いが、先行きは備蓄米により低下するか

【図表3】生鮮食品と他食糧の推移(前年同月比、前月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

今回の注目点として、生鮮食品の伸びがピークから鈍化傾向が続いている点があげられます。一方で米価格は前年同月比22.9%(2月:同19.0%)と依然として伸びの加速が確認され、その落ち着きにはまだ時間がかかると考えられます。米価格は備蓄米の放出等の影響から先行きでは少しずつ低下していくものと推察され、ある程度、食料のインフレは減速していく予想がされています。

【図表4】サービスCPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

一方で東京サービスCPIは前年同月比0.8%上昇(前回2月:同0.6%)しました。一般サービスにおける外食や家事関連といった人件費率の大きいサービス品目の上昇が確認され、この結果はポジティブなものと考えられます。

先行きについても4月は期初の価格改定が実施される公算が高く、サービス価格の基調が上向いていけばコストプッシュインフレからディマンドプルインフレへの移行に兆しが見えてくるでしょう。

【3】所感:サービス価格は横ばいから上昇基調となるか

主要3指標が揃って市場予想を上回り、東京CPIは強さが見える内容でした。

中身をみると、米は依然として強い上昇が見られるも、そのほかコストプッシュ要因は減速感がみられ、一方でサービス等のディマンドサイドのインフレも前月と比べ、全体への寄与が確認できました。これらの結果から、4月に発表される3月の全国CPIも同様の結果が示されることが期待され、日銀の考えるオントラックと評価される内容となるでしょう。

物価は緩やかに減速していくという見通しの中で、ディマンドプルインフレのけん引役となるサービス価格が、4月の価格改定にてどの程度実施されるか、もしくは価格転嫁が想定以上に進まないか、4月の市場動向がカギとなるでしょう。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太