先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業版指数は揃って反落となり、香港ハンセン指数は続落となっています。先週は悪材料が続きました。まず、先週もお伝えしましたが3月8日に発表された中国の輸出が前年同月比18.1%減(市場平均予想は5%増だった)と大幅に減少したことが株式市場にショックを与えました。次いで、9日に発表された2月の消費者物価指数が2.0%の上昇となり、1月の2.5%を下回りました。もちろん、消費者物価指数の下落は良い側面もありますが、中国経済が失速傾向にあることを示唆する内容と認識されたようです。また、消息不明のマレーシア機への懸念から航空株や保険株が売られました。

更に、3月13日に発表された中国の1-2月の小売売上高、鉱工業生産が想像以上に悪い結果でした。小売売上は前年同期比11.8%増となり、市場平均予想である13.5%増や2013年12月の13.6%増を下回りました。一方、鉱工業生産は8.6%増となり、こちらも市場平均予想である9.5%増や2013年12月の9.7%増を下回りました。いずれにしても昨年末以降、中国経済は軟調な状態が続いてきましたが、ここに来て一段と悪化している状況が浮き彫りになりました。

一方、香港株についても基本的には前述の思わしくない中国の経済指標が原因で株価は下落基調となりました。その他にも悪材料として、電気設備メーカーの保定天威保変電気が2年連続の赤字となり、先週お伝えした上海超日太陽能科技の社債のデフォルトと同じような事態が、他の中国企業でも発生するのではないかといった懸念つながりました。また、李克強首相が不動産投機を抑える方針を示したことから不動産セクターが全般的に下落しています。13日に閉幕した全国人民代表大会(日本の国会にあたる)から一番強く発せられたメッセージは綱紀粛正の継続であり、期待されていた景気刺激策の発表はありませんでした。それどころか、中国経済はよりスローダウンを強いられる可能性が出てきて株価も敏感に反応し始めているところが現状だと思います。

コラム執筆:戸松信博