2024年末のトランプ政権成立後は減税期待から米国株が上昇し、世界的に株式市場への期待が高まりました。ところが、その後米国の関税問題をきっかけに世界的に株価は調整し、特にハイテク株式は大きく下落しました。
日経平均も一時4万円台に達したものの円高や関税問題への懸念から3万円台後半でのレンジ相場となっており、膠着(こうちゃく)状態が続いています。
暗号資産もビットコインは2024年末に付けた高値からは2割以上下落しており、米国の規制緩和による価格上昇を期待した投資家は損失を抱えています。
このようにマーケットはいつも上昇相場が続くわけではなく、投資は思うようにいかない時が多いものです。しかし、そんな思うようにならない時にどのような対応をするかによって、将来の投資の成果が変わってきます。
投資の基本は正しい方法で続けること
私が20代から40年近く資産運用を続けてきてわかったこと。それは投資で最終的に成果を出すには大切なことが2つあるということです。
1つは正しい方法を選択し、それを実践すること。そして、もう1つは、その方法を続けることです。
投資は常にうまくいくとは限りませんから、正しい方法でやっていても常に結果が出るとは限りません。しかし、正しい方法を愚直に繰り返しているうちに、確率的に結果を出せる可能性が高まります。これは「大数の法則」と呼ばれ、回数を繰り返すことで本来の確率に結果が近づいていくのです。
例えばコインの表が出るか裏が出るかは、本来の確率は2分の1ですが、10回投げても10回表の可能性はあります。しかし、100回、1,000回、1万回と回数を増やせば2分の1に近づいていきます。
成功確率が7割の投資を1回だけやっても3割は失敗しますが、回数を増やせばほぼ7割の勝率になるのです。投資の世界にもこの大数の法則を取り入れることが大切です。
分散することで最悪の事態を避ける
そして投資の基本は「分散」です。価格上昇が期待できる複数の資産に資金を分散させることで、リスクを抑えながら、資産の増加を実現できます。
値動きが異なる資産に分散させれば、互いの値動きを打ち消し合うため、ポートフォリオ全体の価格変動を抑えることができます。分散投資は1つの資産への集中投資に比べ、上昇率が抑えられるかもしれませんが、最悪の場合のダメージも抑えることができます。
投資で失敗する人の多くはリスクの取りすぎで大きなマイナスとなってしまい、損失を確定して投資をやめてしまうパターンです。大きく儲かる投資をするより、最悪の時に損をしにくい投資にすることで、マーケットのリターンを享受できるようになるのです。
金融資産と実物資産に分散させる
分散投資の具体的な方法として私が提唱しているのは、金融資産と実物資産を組み合わせることです。
金融資産も1つの銘柄に集中するのではなく、インデックスファンドのような商品を活用し分散を徹底させます。
不動産を始めとする実物資産は、株式等の金融資産とは値動きが異なります。不動産以外にも、アンティークコイン、現代アート、ワインといった異なる値動きをする資産も組み合わせることで、さらに資産分散が実現できます。
ビットコインのような暗号資産も最大で資産の10%程度まで組み入れても良いでしょう。
長期で考えることでリターンを安定させる
分散と並んで大切なのは、長期で投資を行うことです。
マネー誌などには短期で高いリターンを狙う投資方法が紹介されていますが、確実性が低く逆方向に行けば大きな損失が発生します。
例えば、グローバルな株式に投資をするインデックスファンドを活用した場合、10年の運用期間であれば、マイナスになる可能性はかなり抑えられるという過去の実績があります。過去の実績が将来を保証するわけではありませんが、資本主義社会が経済成長を続ける限り、同じ結果が繰り返される可能性が高いと思います。
投資はやめないことが大切
トランプ政権発足後、グローバルな投資環境は大きく変わっていますが、投資の基本は変わりません。環境に左右されることなく、正しい方法を継続できる投資家だけが最終的な成果を手に入れられることを忘れてはいけません。
私も、これまで1987年のブラックマンデーや2008年のリーマンショックなど数え切れない相場の暴落を経験してきました。渦中にいる時は絶望的な気分になり、投資をやめたくなったりしましたが、後から振り返ればこのような暴落こそが、投資の最大のチャンスでもあったと気がつきます。
思い通りにマーケットが動かない時は、投資の成果が上がらないわけですが、逆にそのような時は割安に投資ができるチャンスになっているとも考えられます。
投資のリターンはマーケットが上がっているときの対応ではなく、マーケットが調整しているときの対応で決まってきます。
うまくいかない時は、目先のことを考えるのではなく、投資の基本に立ち返り、自分がやっていることが正しいやり方なのか自問してみましょう。