無限に広がる静寂と孤独に果たして私の精神は耐えられるだろうか?

2013年、『ゼロ・グラビティ』という映画がありました。身体ひとつで宇宙空間に投げ出されてしまった宇宙飛行士が自身の力で地球に降り立つまでの、まあ、あり得ない奇跡のストーリーですが、圧倒的な映像美と静寂は映画館で鑑賞すべき、と大ヒットした作品です。もちろん私も映画館で鑑賞したのですが、とても恐ろしい映画でした。ホラー映画でゾンビやシリアルキラーに襲われるという類の恐怖とはまた違った底しれぬ絶望が宇宙には漂っています。

その宇宙へ約1週間のミッションの予定で飛び立ったもののトラブルで約9ヶ月も滞在することになった宇宙飛行士が、先週3月18日にマスク氏が率いる米スペースXの宇宙船「クルードラゴン」で無事帰還しました。無事に帰還できたことは人類にとって素晴らしいニュースとなりました。想定外の9ヶ月の宇宙滞在でも人は生きられるのだと。ただし彼らの身体はげっそりやせ細り、栗色の髪の毛は白くなり著しい老化が見られたとのことで、9ヶ月もの無重力空間滞在の影響は大きかったようです。精神的なストレスが老化を進めたとの指摘もあり、どれほどの絶望と戦ってきたのかと戦慄させられるものでもありました。

そしてボーイングが駄目でもスペースXがあるという、米国の宇宙技術の厚みにも感嘆した次第。宇宙は株式市場でも投資テーマのひとつとして注目されていますが、様々な失敗を重ね、時には人の命の犠牲の上に新たな技術革新があるのだと人類の飽くなき野望、好奇心には驚くばかり。民間企業による宇宙旅行が身近になると指摘されていますが、私には宇宙に行く勇気はなさそうです…。