【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 40,813.57 ▼537.36 (3/13)
NASDAQ: 17,303.01 ▼345.44 (3/13)
1.概況
昨日の米国市場では、主要3指数がそろって下落となりました。欧州連合(EU)の報復関税を受け、トランプ米大統領が欧州産ワインなどのアルコール製品に対し大幅な関税を課すと表明したことで、貿易摩擦拡大への警戒感が相場の重荷となりました。また、米連邦政府のつなぎ予算が14日夜に失効する期限を迎える中、政府機関の一部閉鎖リスクが投資家心理の悪化につながりました。
ダウ平均は70ドル安で取引を開始し、一時はプラスに転じる場面もありました。しかし、9ドル高で伸び悩むとその後は再び売りが優勢となり、下げ幅を広げながら一時689ドル安まで下落しました。取引終盤にかけて下げ幅を縮小したものの、最終的に537ドル安の40,813ドルで取引を終え、4日続落となりました。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は345ポイント安の17,303ポイント、S&P500株価指数は77ポイント安の5,521ポイントで取引を終え、いずれも反落しました。
2.経済指標等
2025年2月の米生産者物価指数(PPI)は前年同月比3.2%上昇となり、前月から伸びが鈍化しました。また、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは、前年同月比3.4%上昇となり、こちらも3.5%上昇を見込んだ市場予想を下回って前月から伸びが鈍化しました。先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比2000件減の22万件となり悪化を見込んだ市場予想に反して改善を示しました。
3.業種別動向
S&P500の業種別株価指数は、全11業種のうち公益事業のみが小幅に上昇となりました。一方で、10業種が下落となり、特にコミュニケーション・サービスや一般消費財・サービス、不動産が2%以上下落したほか、情報技術や資本財・サービスが1%以上下落しました。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄では、30銘柄中10銘柄が上昇しました。特にベライゾン・コミュニケーションズ[VZ]が2%以上上昇したほか、トラベラーズ・カンパニーズ[TRV]とメルク[MRK]が1%以上上昇しました。一方、20銘柄が下落となり、特にセールスフォース[CRM]とホームデポ[HD]が4%以上下落しました。また、アップル[AAPL]は3%以上下落したほか、スリーエム[MMM]やアマゾン・ドットコム[AMZN]、シャーウィンウィリアムズ[SHW]、ゴールドマン・サックス[GS]は2%以上下落しました。そのほか、ウォルト・ディズニー[DIS]やアメリカン・エキスプレス[AXP]、アイビーエム[IBM]など9銘柄が1%以上下落しています。
ダウ平均構成銘柄以外では、インテル[INTC]が次期CEO(最高経営責任者)に元同社取締役で、ケイデンス・デザイン・システムズ[CDNS]のCEOや会長を務めたタン氏を起用すると発表したことで14.6%上昇し、S&P500株価指数構成銘柄の値上がり率ランキングでトップとなりました。また、ディスカウントストアのダラー・ゼネラル[DG]は、取引開始前に公表した第4四半期決算で既存店売上高が市場予想を上回ったほか、見通しの引き上げが好感され、6.8%上昇しました。一方で、ソフトウェアメーカーのアドビ[ADBE]は、前日引け後に公表した第1四半期決算で、市場予想を上回る売上高、EPS(1株当たり純利益)を達成したものの、通期の売上高見通しが市場予想を下回ったことで13.9%下落し、S&P500株価指数構成銘柄の値下がり率ランキングでワーストとなりました。
5.為替・金利等
米長期金利は前日から0.04%低い4.27%となりました。ドル円は、147円台後半で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
昨日の米国市場で主要3指数がそろって下落となった流れを引継ぎ、本日の日本市場は下落してのスタートが予想されます。こうしたなか、本日は先物とオプションの清算が重なる、3カ月に1回の「メジャーSQ」日であることから、日経平均は荒れた値動きとなることが想定されます。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐)