先週の中国株ですが、上海総合指数と深セン総合指数、創業版指数は揃って小反発となり、香港ハンセン指数は小反落となっています。本土の株式指数については、週初は3月5日に開幕した全国人民代表大会(日本の国会にあたる)で、市場に好影響を与える国有企業改革や環境、消費に関する政策が発表されるのではないかとの期待感から上昇したのですが、太陽光電池パネルメーカーの上海超日太陽能科技が4日(火)の遅くに、社債に関して債務不履行の見通しを示したことから、銀行株が大きく売られ、相場が下げるキッカケとなりました。

銀行株の下落については、上海超日太陽能科技の社債が債務不履行となった場合、中国の社債市場で初の債務不履行となり、債券市場が荒れる恐れがあるため、債券市場の主要な投資家である銀行の収益性の悪化につながることが懸念されたわけです。しかし、近年の中国経済のスローダウンや中国政府の三公消費削減などの緊縮政策に伴い、中国の企業業績は悪化しているところが多く、このような債務不履行が他でも発生したり、連鎖したりするのではないかとの懸念が、週後半には株価軟調の主要因となっています。加えて言えば、2014年に入ってから軟調な中国の経済指標発表が続いている中で、2013年7月に行ったような小規模な景気刺激策が、未だに発表されないことへの失望感も加わっていると思います。

その他では、全国人民代表大会において、閣僚が中国の不動産市場は危機的な状況にはないとコメントしたことから、不動産に対する規制緩和が発表されるのではないかという期待感から不動産銘柄が買われたり、中国の2014年のGDP成長率目標である7.5%について、最低限の必ず到達すべき数字ではなく、予想値に過ぎないと中国の報道官がコメントしたことが相場全体に悪影響を与えたりしたことなどがありました。もちろん、ロシアとウクライナの緊迫化も悪材料です。ちなみに香港株は中国株と同じような、あまり良くない流れではあったのですが、米国株の上昇に支えられて小幅上昇になっているといった具合です。今週は3月8日に発表された中国の輸出が前年同月比18.1%減と大幅に減少していることから大きく下落してのスタートとなっています(市場平均予想は7.5%増だったのでネガティブサプライズです)。前述にもあるように、経済指標の悪化を受けて、小規模な景気刺激策が出てくるかどうかが、引き続き相場のポイントとなる見通しです。

コラム執筆:戸松信博